


Q186 薬局内に掲示するコラムに何を書けばいい?

Q186 薬局内に掲示するコラムに何を書けばいい?




患者さんが知りたいと思うテーマを選びましょう

テーマの選び方ですが、主に3通りの考え方があると思います。一つは、薬局の患者さん層を考えたテーマ選び。たとえば、小児科の処方せんを受けている薬局であれば、薬の飲ませ方や子育てに関するテーマ、流行している病気の予防対策など、患者さんの保護者の方々の興味を引くものがいいでしょう。高齢の患者さんが多い場合、食事や生活習慣に関するテーマに加えて、骨粗鬆症の予防対策、フレイル・低栄養予防といった高齢者特有の疾患や症状に関する予防対策情報を提供するのも一案です。
二つ目の考え方としては、季節に応じたテーマを選ぶこと。春は花粉症や黄砂対策、夏は熱中症や水分補給、秋冬はヒートショックやインフルエンザ対策など、季節特有の疾患や症状について説明します。
三つ目の案は、薬局や薬剤師についての説明記事。多くの患者さんは、薬局や薬剤師の仕事について詳しく知りません。地域の中での薬局の役割、処方せんを受けとってからお薬を渡すまでの流れ、薬局がおこなっているサービスの詳細など、普段詳しく説明する機会がないことも、コラムにすれば患者さんが待ち時間にゆっくり読んで理解を深めるきっかけになります。調剤報酬、在宅医療、オンライン服薬指導、夜間・休日の対応、在宅・介護に関するサポート、かかりつけ医との連携などなど、患者さんに伝えたいこと・理解してほしいことを考えてみれば、テーマは多岐にわたります。
いずれの場合も、患者さんが目の前にいるつもりになって、患者さんが知りたいと思うテーマを想像して選んでほしいと思います。日ごろの服薬指導の中で、患者さんに説明したら喜んでもらえた内容をメモしておき、後日コラムに書いてみるのもおすすめです。
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薬剤師の接遇マナー・テクニック Q88 薬局内に必要な掲示物とは?
患者さん目線の「見やすさ」「読みやすさ」を意識しましょう
テーマ選びも大切ですが、もう一つ大切なことがあります。それは、患者さんが「見たい」「読みたい」と思うような掲示物にすることです。
服薬指導では専門用語や難しい言葉を使わないように気をつけていると思いますが、コラムでもそれは同じです。患者さんがわかりやすいように専門用語は使わない。読みやすいように難しい言葉や言い回しを使わない。さらに言えば、お薬を待つ短い時間でもサッと読めるように、全体の文字数を短めに、一文も短めの文章を心がけるといいでしょう。

また、患者さんの興味を引くよう「見せる工夫」も大切です。待合室に座っている患者さんに「何か面白そうだから読んでみよう」と思ってもらうためには、遠目に見てもほどほどに目立つタイトルや文字の大きさが必要です。親近感や温もりを伝えたければ手書きにしてみる、薬の情報などの正確さ・迅速さを打ち出したいコラムであればパソコンで作って印刷するなど、内容に合わせて見せ方を変えてもいいと思います。
コラムを掲示したらそれで終わり、ではなく、こまめに作り直したり、新しいコラムに変えたりするひと手間も重要です。掲示物は時間とともに傷んできます。色があせたり、隅がめくれたり、破れたり……見るからに放置していることがわかってしまうと、薬局のイメージダウンにもつながりかねません。
季節が変わるタイミングなどに合わせて定期的に新しいコラムを掲示すれば、それを楽しみに来局される患者さんもいるかもしれません。調剤報酬や夜間・休日の対応といった継続して掲示したい内容のコラムはラミネート加工して、色あせてきたら印刷し直す、季節性のコラムは時期が過ぎたら新しい内容のコラムに変える、といった臨機応変さも大切です。
ぜひ患者さんの興味を引くテーマを楽しみながら見つけてみてください。「次は何を書こう」と考えると、服薬指導にも新しい視点で臨めるようになりそうです。



株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/


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