薬剤師のスキルアップ 公開日:2025.12.03 薬剤師のスキルアップ

薬剤師のボーナスは平均いくら?1年目の支給額や手取りの計算方法を解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬剤師がもらえるボーナスの平均はいくらくらいなのか、気になる人もいることでしょう。本記事では、ボーナスの概要や支給時期、支給金額がどのように決められるのかについてお伝えするとともに、「薬剤師全体」「職場別(病院・薬局)」「薬剤師1年目」のボーナスの平均支給額、薬剤師の平均年収を紹介します。また、他職種のボーナス支給金額、ボーナスアップを目指す方法などについても解説しています。

1.ボーナス(賞与)とは?

ボーナス(賞与)とは、定期的に支給される給与とは別に支払われる金銭のことです。企業や組織によっては、特別手当、夏季手当、期末手当、年末手当などの名目で支払われることがあります。
 
ボーナスは法律で支給が義務付けられているものではありません。そのため、必ず支払われるとは限らない点は認識しておきましょう。
 
ただし、契約書や就業規則でボーナスの支給について定められている場合には、その定めに従って支給する義務があります。

 

1-1.ボーナスはいつもらえる?

ボーナスがもらえる時期は企業によって異なりますが、夏と冬の年2回支給されるのが一般的です。夏のボーナスは6月下旬から7月下旬に、冬のボーナスは12月上旬から中旬に支給されるケースが多いでしょう。
 
ボーナスをもらうためには、基本的に一定以上の期間、継続的に勤務していることが必要です。評価期間中に在籍していなかった社員や、支給基準日より前に退職予定の社員は対象外となることがあります。

 

1-2.ボーナスの金額はどのように決まる?

ボーナスの金額は、一般的に勤務先の経営状況や個人の評価、勤続年数、人事評価などに応じて決まります。薬剤師が働く病院や調剤薬局では、基本給の3カ月分など、一定割合が支給されるケースも多いでしょう。
 
一般企業の場合は、業績によってボーナスの金額が上下する傾向にあります。会社の利益や部門の達成度に応じて、支給総額が決まり、そこから個人の評価や役職、勤続年数などを加味して配分されます。業績が振るわない年は、減額や支給なしとなるケースもあるでしょう。企業文化や業種によっても差があるため、職場の制度について理解しておくことが重要です。

 

1-3.ボーナス(賞与)の定義とは?

労働基準法の施行に関する通達(昭和22年9月13日発基第17号)において、賞与とは「定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないもの」と定義されています。

 
参考:労働基準法の施行に関する件(昭和22年9月13日発基第17号)|厚生労働省

 
また、国税庁のウェブサイトによると、「賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するもの」であり、給与などが賞与の性質を有するかどうか明らかでない場合、以下のようなものは賞与に該当するとされています。

 

1. 純益を基準として支給されるもの
2. あらかじめ支給額または支給基準の定めのないもの
3. あらかじめ支給期の定めのないもの(雇用契約そのものが臨時である場合のものを除く)
4. 法人税法第34条第1項第2号「事前確定届出給与」に規定する給与(他に定期の給与を受けていない者に対して継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づき支給されるものを除く)
5. 法人税法第34条第1項第3号に規定する業績連動給与

参考:No.2523 賞与に対する源泉徴収|国税庁

2.薬剤師のボーナスは平均いくら?

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師のボーナス(年間賞与その他特別給与額)は平均82万3,600円でした。所定内給与額が平均40万7,000円であることから、平均約2.02カ月分のボーナスが支給されていることが分かります。
 
企業規模ごとの給与やボーナス、支給月数の平均は、以下のとおりです。

 

従業員数 年齢 所定内
給与額
ボーナス
支給額
ボーナス
支給月数
全体
(10人以上)
40.9歳 40万7,000円 82万3,600円 2.02カ月
1,000人以上 36.7歳 37万5,700円 97万8,600円 2.60カ月
100~999人 44.3歳 43万8,800円 70万1,100円 1.60カ月
10~99人 44.3歳 42万200円 67万8,000円 1.61カ月

※ボーナス支給月額:ボーナス支給額/所定内給与額で算出(小数点第3位を四捨五入)

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号5|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

従業員数1,000人以上の企業は、平均年齢が若いことから所定内給与額は低くなっていますが、ボーナスの支給額は最も高いという結果となっています。
 
一方、従業員が少ない企業は平均年齢が高く、ボーナスの支給額は少ないものの、所定内給与額が高い傾向にあることが分かります。

 

2-1.薬剤師1年目のボーナスは平均いくら?

「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、「経験年数0年」「20~24歳」の薬剤師のボーナスは平均1万1,400円となっています。

 

従業員数 所定内
給与額
ボーナス
支給額
ボーナス
支給月数
全体
(10人以上)
32万1,500円 1万1,400円 0.04カ月
1,000人以上 32万8,600円 1万9,600円 0.06カ月
100~999人 35万4,200円 0円
10~99人 24万6,800円 0円

※ボーナス支給月額:ボーナス支給額/所定内給与額で算出(小数点第3位を四捨五入)

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号10|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

ただし、賃金構造基本統計調査は対象年の7月に行われるため、1年目の場合は支給対象になっていないケースも多いと考えられます。
 
参考:賃金構造基本統計調査 調査の概要|厚生労働省

 
また、「令和6年賃金構造基本統計調査」では、企業規模ごとの「経験年数1~4年」「25~29歳」の薬剤師のボーナスについても調査されています。

 

従業員数 所定内
給与額
ボーナス
支給額
ボーナス
支給月数
全体
(10人以上)
34万3,700円 67万6,500円 1.97カ月
1,000人以上 33万7,300円 84万7,700円 2.51カ月
100~999人 39万2,900円 21万8,400円 0.56カ月
10~99人 29万7,500円 47万1,700円 1.55カ月

※ボーナス支給月額:ボーナス支給額/所定内給与額で算出(小数点第3位を四捨五入)

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号10|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

薬剤師2年目以降のボーナス支給額は、薬剤師全体の平均と同様、従業員数1,000人以上の企業が最も高い結果になっています。

 

2-2.薬剤師の職場別のボーナスは平均いくら?

厚生労働省が公開している「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告 -令和5年度実施-」によると、病院薬剤師と薬局薬剤師のボーナス(賞与)の平均金額は、それぞれ以下のとおりです。

 

種別 賞与
病院薬剤師 112万7,167円
薬局 管理薬剤師 86万5,854円
薬剤師 68万5,165円

 

病院薬剤師の方が薬局薬剤師よりもボーナスが高いという結果となっています。ただし、ボーナスの支給額は、法人・個人など病院や薬局の開設主体、企業の規模によっても相場が異なることに留意しましょう。

 

2-3.薬剤師の平均年収はいくら?

「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模ごとの薬剤師の平均年収は、以下のとおりです。

 

従業員数 年齢 勤続年数 平均年収
全体
(10人以上)
40.9歳 8.8年 599万3,200円
1,000人以上 36.7歳 7.6年 592万5,000円
100~999人 44.3歳 10.4年 614万1,900円
10~99人 44.3歳 8.1年 584万4,000円

※年収は「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号5|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

企業規模別の年収については、従業員数が100~999人の企業の年収が高く、全体の平均年収を上げていることが分かります。従業員数1,000人以上の企業については、平均年齢が36.7歳と比較的若い人材が集まっていることから、平均年収が低くなっていることが考えられます。

 
🔽 薬剤師の平均年収について解説した記事はこちら

3.薬剤師のボーナスは多い?少ない?

薬剤師のボーナスは他職種より多いのか、少ないのかを比較してみましょう。
 
「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、医療関連職種のボーナス支給額(年間賞与その他特別給与額)は、以下のとおりでした。

 

職種 所定内
給与額
ボーナス
支給額
ボーナス
支給月数
医師 91万1,600円 106万9,300円 1.17カ月
歯科医師 89万5,000円 44万4,800円 0.50カ月
獣医師 68万3,700円 29万1,800円 0.43カ月
薬剤師 40万7,000円 82万3,600円 2.02カ月
保健師 31万3,300円 99万9,200円 3.19カ月
助産師 34万7,200円 101万400円 2.91カ月
看護師 32万9,600円 83万5,000円 2.53カ月
准看護師 27万3,700円 64万100円 2.34カ月
診療放射線技師 34万2,600円 99万1,300円 2.89カ月
臨床検査技師 31万4,800円 92万3,800円 2.93カ月
理学療法士、作業療法士
言語聴覚士、視能訓練士
29万9,400円 70万4,700円 2.35カ月
歯科衛生士 28万6,600円 48万4,400円 1.69カ月
歯科技工士 31万5,400円 59万2,000円 1.88カ月
栄養士 25万8,400円 65万4,600円 2.53カ月
その他の保健医療従事者 28万2,800円 65万9,000円 2.33カ月

※ボーナス支給月額:ボーナス支給額/所定内給与額で算出(小数点第3位を四捨五入)

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号5|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

薬剤師のボーナスは、医療関連職種の中で特別に多いとはいえないものの、少ないわけではないことが分かります。ただし、支給月数は2.02カ月と、看護師や臨床検査技師、栄養士などと比べて少なくなっています。

4.薬剤師のボーナスに関するQ&A

ここでは、薬剤師のボーナスに関するQ&Aについて見てきましょう。

 

4-1.ボーナスがない職場もある?

前述したとおり、企業はボーナスを支給する法的な義務を負っていません。そのため、必ず支給されるものではないことを念頭に置いておきましょう。
 
厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」によると、「医療・福祉」業に属する常用労働者5人以上の事業所のうち、2024年に年末賞与を支給した事業所の割合は85.6%でした。
 
前年は75.0%であったことから、ボーナス支給割合は10.6%上がっているものの、依然としてボーナスがない職場があることが分かります。
 
薬剤師が働く業界では、ボーナスが支給されているケースが多いものの、業績が悪くボーナスを支給できなかったり、基本給を高くしてボーナスを支給していなかったりする企業もあるため、職場の経営状況や給与体系を確認しておきましょう。

 

4-2.契約社員や派遣社員・アルバイトでもボーナスをもらえる?

契約社員や派遣社員、アルバイトにボーナスを支給する企業は少ないかもしれません。しかし、契約書や就業規則などにボーナスの支給が明示されている場合、ボーナスは支給されます
 
契約社員や派遣社員、アルバイトとして勤めながらボーナスの支給を希望する場合は、事前に確認しておきましょう。

 

4-3.ボーナスの手取り金額の計算方法は?

ボーナスの手取り金額は、ボーナスの支給額から社会保険料と源泉徴収税額が差し引かれた額になります。
 
社会保険料は、「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「介護保険料(40歳以上)」の合計額で、ボーナスの支給額に各保険料の料率を乗じて算出します。
 
源泉徴収税額(所得税および復興特別所得税)については、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」をもとに扶養人数などに応じた「賞与の金額に乗ずべき率」を求め、ボーナスの支給額から社会保険料を差し引いた金額に乗じて計算します。
 
ただし、薬剤師国保などの国民健康保険の場合、ボーナスから保険料は差し引かれません。

 
🔽 薬剤師国保について解説した記事はこちら

5.薬剤師がボーナスアップを目指すには?

薬剤師がボーナスアップを目指すには、基本となる給与をアップする方法や、転職する方法などがあります。それぞれについて見ていきましょう。

 

5-1.勤続年数を積んで昇給を目指す

ボーナスの支給額は基本給が基準となるケースが多いため、勤続年数を積むことで、毎年コンスタントに昇給していくことが、ボーナスアップにつながります
 
特に定期的に昇給する制度がある職場では、年数に応じて基本給が増えるため、ボーナスの額も自然と上がっていくでしょう。
 
また、勤務先に長く在籍することで職場内での信頼や実績が積み重なり、昇進する機会が得やすくなる場合もあります。主任や管理薬剤師、エリアマネジャーなどの役職に就けば、役職手当や責任に応じた昇給が期待でき、結果としてボーナスアップも見込めるでしょう。

 

5-2.管理職への昇進を目指す

管理職に就いて昇給を目指すことは、ボーナスアップの大きな一歩となります。特に管理薬剤師やエリアマネージャーなどのポジションでは、業務の責任範囲が広がり、評価対象も多岐にわたるため、仕事の成果が給与や賞与に反映されやすくなります
 
ただし、管理薬剤師やエリアマネジャーなどの役職に就くためには、リーダーシップやマネジメントスキルを身に付けることが不可欠です。スタッフの育成や業務の効率化、店舗運営の改善など、現場を支える力が求められます。
 
また、日々の業務を通じて信頼を築くことも重要です。薬局内のチームをまとめる役割を担ったり、職場の勉強会や委員会活動に積極的に参加したりすることで、周囲からの評価が高まり、昇進への道が開けるでしょう。

 
🔽 管理薬剤師について解説した記事はこちら

 

5-3.資格を取得して昇給を目指す

資格の取得も、昇給につながるステップです。認定薬剤師や専門薬剤師などの専門性の高い資格を取ることで業務の幅が広がり、職場での評価や責任も増します。
 
資格取得によって、管理薬剤師や薬局長、新人教育担当などの役割を任されることもあるため、昇進・昇給や役職手当による収入アップが目指せるでしょう。
 
ただし、資格手当が基本給に含まれず、ボーナスに反映されないケースもあります。そのため、資格を取得しても即座にボーナスの額が増えるとは限りません。まずは職場の制度を確認しましょう。
 
とはいえ、専門性や貢献度が認められることは、昇給や役職手当などにも影響するため、長期的な視点でスキル向上を図ることが重要です。

 
🔽 認定薬剤師・専門薬剤師について解説した記事はこちら


 

5-4.好条件の職場に転職する

好条件の職場に転職するのも、ボーナスアップには効果的です。ボーナスの支給額は企業の業績や方針、業種によっても異なるため、同じ薬剤師でも病院・調剤薬局・ドラッグストア・製薬企業などで相場に差が出ることがあります。製薬企業や大手チェーンでは、業績連動型の高額ボーナスが期待できるケースもあるでしょう。
 
また、ボーナスは「給与×○カ月」で支給されることが多いため、基本給が高い職場や支給月数が多い職場へ転職することは、年収全体の底上げにつながります。
 
転職でのボーナスアップを目指す場合、現職の待遇と比較しながら、給与体系や賞与制度をしっかり確認することが重要です。
 
転職活動を効率的に進めるには、薬剤師専門の転職エージェントを利用するのもおすすめです。希望条件に合った求人を紹介してもらえるだけでなく、面接対策や条件交渉のサポートも受けられるため、納得のいく転職が実現しやすくなるでしょう。

6.薬剤師としてのキャリアアップがボーナスアップにつながる

薬剤師が現職でボーナスアップを目指すなら、キャリアを積みながら認定薬剤師や専門薬剤師などの資格を取得し、昇給や昇進を目指しましょう。転職してボーナスアップをするなら、強みとなる経験や資格を棚卸することが大切です。いずれの方法も、キャリアアップがカギとなるため、ボーナスアップを目指すなら薬剤師としてのキャリアアップも同時に考えましょう。

 
🔽 薬剤師のスキルアップについて解説した記事はこちら

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。