第37回 赤瀬朋秀 先生
現在、調剤薬局の店舗数はコンビニエンスストアをしのぐといわれています。処方箋獲得競争の激化、2014年度診療報酬の改定での調剤報酬引き下げなど、これまでと同じように業務を行っているだけでは経営を安定化させることが難しくなってきました。
年々、調剤薬局を取り巻く環境の厳しさが増していくなかで、生き残る薬局となるにはどうすればよいのでしょうか。
今回は薬剤師でありながらMBAを取得し、数々の薬局や病院の経営立て直しやコンサルテーションを実践してきた赤瀬朋秀先生にお話をうかがいました。全5回のシリーズです。
原稿/高垣育(薬剤師・ライター)
現在、薬局の店舗数はコンビニエンスストアの店舗数をしのぐといわれており、限られた処方箋を取り合っている状況です。なかでも大手調剤薬局は立地を含め、処方箋を獲得するための優れたビジネスモデルを独自に確立しているため、新規の小規模な薬局が何の策もなくその地域に参入しても、経営を安定させることは難しい状況にあるといえます。たとえば「独立・開業をすれば、勤務薬剤師よりも高収入を得られる」などの漠然とした考えで薬局を立ち上げることは非常に厳しいでしょう。
では、ほかの薬局にはない特徴があればいいのかというと、それだけでも薬局の経営はうまくいきません。どんなに素晴らしい特徴があっても、それが地域住民のニーズに合致していなければ、顧客を確保することができないからです。
それではこの厳しい状況のなか、新たな薬局はどのようにして地域における存在意義を獲得すればよいのでしょうか。
独立・開業を成功させるためのポイントは二つ。
一つ目は、開局予定地域のマーケティングを入念に行うことです。
薬局のあり方は地域によってさまざまで、薬剤師に求められることも異なります。
地域に住む方の年齢層はどうですか? 高齢化が進んだ地域であれば、高齢者の来局が多いことが予想されます。座って投薬できるような投薬カウンターや、宅配サービス、在宅医療のサービスが必要になるかもしれません。子育て中の家庭が多い地域だったら、感染症が流行した際に患者を隔離する部屋のほか、授乳室やプレイスペースなどがあるといいかもしれません。
また、薬局の立地はどうでしょう。駅前で仕事帰りのビジネスパーソンが多く立ち寄るようであれば、夜遅めの時間帯まで開局するようにした方がいいかもしれませんね。
二つ目は、収入の主軸となる薬局の強みを把握することです。
薬局の収入には調剤業務のほか、OTC販売、在宅医療、薬価差益などがありますが、利益を生み出す項目は何になりそうですか?
薬局の収入源を把握し、その項目による収入を伸ばす、あるいはその他の項目を強化して収入の安定化を図るといった対策を講じていくことが大切です。
こうした薬局の収入・支出を把握するうえで欠かせないのが会計やファイナンスの知識です。
この知識は開局後、資金の調達や運用の方針を定めた財務計画を立てる際に必要となりますから、独立・開業を決意したら簿記3級程度の知識を身につけるよう、勉強を進めておくとよいでしょう。
現在、薬局の店舗数はコンビニエンスストアの店舗数をしのぐといわれており、限られた処方箋を取り合っている状況です。なかでも大手調剤薬局は立地を含め、処方箋を獲得するための優れたビジネスモデルを独自に確立しているため、新規の小規模な薬局が何の策もなくその地域に参入しても、経営を安定させることは難しい状況にあるといえます。たとえば「独立・開業をすれば、勤務薬剤師よりも高収入を得られる」などの漠然とした考えで薬局を立ち上げることは非常に厳しいでしょう。
では、ほかの薬局にはない特徴があればいいのかというと、それだけでも薬局の経営はうまくいきません。どんなに素晴らしい特徴があっても、それが地域住民のニーズに合致していなければ、顧客を確保することができないからです。
それではこの厳しい状況のなか、新たな薬局はどのようにして地域における存在意義を獲得すればよいのでしょうか。
独立・開業を成功させるためのポイントは二つ。
一つ目は、開局予定地域のマーケティングを入念に行うことです。
薬局のあり方は地域によってさまざまで、薬剤師に求められることも異なります。
地域に住む方の年齢層はどうですか? 高齢化が進んだ地域であれば、高齢者の来局が多いことが予想されます。座って投薬できるような投薬カウンターや、宅配サービス、在宅医療のサービスが必要になるかもしれません。子育て中の家庭が多い地域だったら、感染症が流行した際に患者を隔離する部屋のほか、授乳室やプレイスペースなどがあるといいかもしれません。
また、薬局の立地はどうでしょう。駅前で仕事帰りのビジネスパーソンが多く立ち寄るようであれば、夜遅めの時間帯まで開局するようにした方がいいかもしれませんね。
二つ目は、収入の主軸となる薬局の強みを把握することです。
薬局の収入には調剤業務のほか、OTC販売、在宅医療、薬価差益などがありますが、利益を生み出す項目は何になりそうですか?
薬局の収入源を把握し、その項目による収入を伸ばす、あるいはその他の項目を強化して収入の安定化を図るといった対策を講じていくことが大切です。
こうした薬局の収入・支出を把握するうえで欠かせないのが会計やファイナンスの知識です。
この知識は開局後、資金の調達や運用の方針を定めた財務計画を立てる際に必要となりますから、独立・開業を決意したら簿記3級程度の知識を身につけるよう、勉強を進めておくとよいでしょう。
1989年に日本大学理工学部薬学科卒業後、慶應義塾大学病院薬剤部を経て北里大学病院薬剤部に入局。その後、経営学大学院に進学し経営学を学ぶ。MBA取得後9年間にわたって2つの病院において薬剤部門長を務め、2012年4月より現職。