薬剤師のスキルアップ 更新日:2015.06.30公開日:2015.06.22 薬剤師のスキルアップ

第27回 中村守男 先生

小児医療の場合、患者である子どもの症状や副作用を保護者に聞くなど、大人と違って細やかに気を配る必要があります。そのため、なんとなく苦手意識を持つ薬剤師さんも多いのではないでしょうか。
今回は「NPO法人 こどもとくすり」の理事長で、自らも2児の父親である薬剤師の中村守男先生に、小児患者への対応のコツをうかがいました。

Q
 
お子さんへの服薬指導には、やはり子どもについて知ることも必要かなと思います。勉強のためには、どのような方法が有効でしょうか。
お子さんへの服薬指導には、やはり子どもについて知ることも必要かなと思います。勉強のためには、どのような方法が有効でしょうか。
子どもの心と身体を知ることで、一歩踏み込んだ服薬指導が可能に

 

子どもの性格や発達状態によって服薬指導の仕方を変える

 
子どもは心が成長するにつれて自分の意見を通したいと考えるようになってきます。こうしたお子さんには、子ども自身に選択させ、自分の選択に責任を持たせることで服薬がうまくいくことがあります。
 
たとえば、「アニメを見たあとで薬を飲む?」「それとも、先に飲む?」と聞きます。どちらにしろ薬を飲むことになるのですが、子ども自身に選ばせることにより「自分で選んだことを守ろう」という気持ちが生まれ、薬を飲んでくれることがあります。
 

子どもの「飲みたくない」理由は、意外なところに

 
私たち薬剤師や保護者は、子どもが「薬を飲みたくない」と言うと、「苦い」とか「ざらざらしているから」だと想像しますよね。けれど、味や舌触りばかりが薬を飲めない理由ではないのです。
 
あるお子さんのエピソードですが、「白い薬は飲まないけれど、ピンクだったら飲む」という子がいました。ピンク色の薬には、抗生物質のように大人でも苦く感じるお薬がありますが、このお子さんはピンク色の薬なら苦くても飲めるのです。白い薬だと、味がどれだけ甘くて飲みやすくても飲んでくれません。
 
このように私たちが想像することとは異なり、お子さんの心理的なことが服薬拒否の背景に隠されている場合もあるのです。私たちは、つい保護者の言葉ばかりに耳を傾けがちですが、お子さん自身からもしっかり話を聞くことが大切なのですね。
 

患者さんの気持ちや背景を知るためのスキルアップ法

 
子どもや保護者の悩みを知り、気持ちを知るために育児雑誌なども目を通すことも多くあります。季節ごとに起こるトラブルや保護者の悩みの傾向もわかりやすかったりしますね。
そしてもう一つ、日々の業務の中でできるおすすめのスキルアップ法が、投薬中に受けた質問をすべて記録しておくことです。質問のほかにも保護者やお子さんの様子、推察された生活状況などを記しておくと、どのような方からどのような質問が投げかけられるのか、傾向がみえてきます。
すると、同じような悩みを抱える保護者に対しては、よりスムーズな対話とアドバイスにつながります。
 
この勉強は小児医療のみではなく、どの科目でも役に立ちます。こつこつと情報を集め、その分析を続けることで、生活背景の推察、その方に合った服薬指導という一連の流れを的確に実行できるようになるので、次第にスキルが磨かれていきますよ。

子どもの心と身体を知ることで、一歩踏み込んだ服薬指導が可能に

 

子どもの性格や発達状態によって服薬指導の仕方を変える

 
子どもは心が成長するにつれて自分の意見を通したいと考えるようになってきます。こうしたお子さんには、子ども自身に選択させ、自分の選択に責任を持たせることで服薬がうまくいくことがあります。
 
たとえば、「アニメを見たあとで薬を飲む?」「それとも、先に飲む?」と聞きます。どちらにしろ薬を飲むことになるのですが、子ども自身に選ばせることにより「自分で選んだことを守ろう」という気持ちが生まれ、薬を飲んでくれることがあります。
 

子どもの「飲みたくない」理由は、意外なところに

 
私たち薬剤師や保護者は、子どもが「薬を飲みたくない」と言うと、「苦い」とか「ざらざらしているから」だと想像しますよね。けれど、味や舌触りばかりが薬を飲めない理由ではないのです。
 
あるお子さんのエピソードですが、「白い薬は飲まないけれど、ピンクだったら飲む」という子がいました。ピンク色の薬には、抗生物質のように大人でも苦く感じるお薬がありますが、このお子さんはピンク色の薬なら苦くても飲めるのです。白い薬だと、味がどれだけ甘くて飲みやすくても飲んでくれません。
 
このように私たちが想像することとは異なり、お子さんの心理的なことが服薬拒否の背景に隠されている場合もあるのです。私たちは、つい保護者の言葉ばかりに耳を傾けがちですが、お子さん自身からもしっかり話を聞くことが大切なのですね。
 

患者さんの気持ちや背景を知るためのスキルアップ法

 
子どもや保護者の悩みを知り、気持ちを知るために育児雑誌なども目を通すことも多くあります。季節ごとに起こるトラブルや保護者の悩みの傾向もわかりやすかったりしますね。
そしてもう一つ、日々の業務の中でできるおすすめのスキルアップ法が、投薬中に受けた質問をすべて記録しておくことです。質問のほかにも保護者やお子さんの様子、推察された生活状況などを記しておくと、どのような方からどのような質問が投げかけられるのか、傾向がみえてきます。
すると、同じような悩みを抱える保護者に対しては、よりスムーズな対話とアドバイスにつながります。
 
この勉強は小児医療のみではなく、どの科目でも役に立ちます。こつこつと情報を集め、その分析を続けることで、生活背景の推察、その方に合った服薬指導という一連の流れを的確に実行できるようになるので、次第にスキルが磨かれていきますよ。

中村守男先生プロフィール
中村守男先生プロフィール
「NPO法人 こどもとくすり」理事長。薬剤師。生活者目線を大事に、「こそだて医療(=医療と健康の面から子育てを支援)」を推進するとともに、医療の立場から“健康子育て”支援を目的に、健康づくり講座やワークショップ、講演活動を行う。
有限会社八幡西調剤薬局採用担当マネージャー。2児の父親。
NPO法人 こどもとくすり: http://kodomo-kusuri.org/