医療に欠かせない職種でありながら、どこか影が薄いと言われてしまうこともある、薬剤師という哀しき存在……。「あるある話」を通して、もっと知ってください。私たち薬剤師のこと!
病院薬剤師は少数派なので…【薬剤師のあるあるシーン #3】
職場のイベントで寂しい思いをしがち
少し前まで私が勤務していた病院には、正規職員は全員入会、その他の職員は任意で入会する親睦会がありました。会費は給与の1%(上限あり)を天引きされていました。
この親睦会の活動は、一般の会社の場合と同様、会員の冠婚葬祭に対応する他はイベント開催が主なものでした。なので、イベントには参加しないと単純に損することになります。
病院職員には、医師や看護師などの医療従事者だけでなく、事務職員や設備維持管理のボイラー担当などもいます。一番大きなイベントは職員旅行。毎年、幹事が行き先を決め、病院運営に支障が出ないよう数班に分かれて行くことになっていました。薬剤師は人数が少ないので、各班に1人だけ参加するかたちで振り分けられていました。
旅行間近になると、「何を着ていく?」「バッグはショルダーでもいいかな?」と修学旅行ノリの職員もいる中、私の心は騒ぎます。普段はあまり交流がない参加者に当日だけ合わせることは難しくなく、実際にそうして参加もしたけれど、行き先に興味がないときは参加しないこともありました。「こんな気持ちなのは病院の中で私だけかな?」と軽く悩んだことがあったのも事実です。
そうして年月が経過し、私が最年長の薬剤師になった頃のことです(私は事務室勤務の薬剤師になっていました)。他の薬剤師も職員旅行に参加したりしなかったり、私と似たような動きをしていることが分かってきました。
「まだお子さんが小さいからからかな?」「他に用事があるのかな?」などと理由をいろいろ想像しましたが、真相は今もって不明。「たぶん、彼らも私と同じなのだろう……」と思いを馳せずにはいられませんでした。
もちろん、薬剤師にもいろいろなキャラクターがいますが、基本的にどこか似ているように思います。病院で働く職種の中で少数派だけれど、仕事をしっかりと頑張る気持ちは負けていません。「職場は仕事をするところ」「仕事で実力を発揮しよう」と自らに言い聞かせながら、今日も頑張っているはずです。
東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
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