「ガザイバ」に有用性加算20%‐13品目を29日付で薬価収載
「オプジーボ」は再算定適用
厚生労働省は29日付で、新薬9成分13品目を薬価基準に収載する。内訳は、内用薬が4成分4品目、注射薬が5成分9品目、外用薬はなかった。中外製薬の濾胞性リンパ腫治療薬「ガザイバ」には原価計算方式を適用し、20%の有用性加算を付けた。また、薬価制度の抜本改革を受け、固定用量への一部変更承認がされた抗癌剤「オプジーボ」に用法用量変化再算定が適用され、11月から薬価が約37%引き下げられることになった。22日の中央社会保険医療協議会総会で了承された。
▽ジェミーナ配合錠(ノーベルファーマ):有効成分のレボノルゲストレルとエチニルエストラジオールを配合した月経困難症治療薬。同社の「ルナベル配合錠ULD」を比較薬とし、類似薬効比較方式Iにより算定した。
薬価は、1錠314.10円。予測市場規模は、ピーク時の5年目に患者数17万人、販売額80億円。
▽ダフクリア錠200mg(アステラス製薬):フィダキソマイシンを有効成分とするクロストリジウム・ディフィシル感染症治療薬。ファイザーの「アネメトロ点滴静注液500mg」を比較薬とし、類似薬効比較方式Iにより算定。外国平均価格調整により引き上げた。同剤は、既存薬と異なる新規作用機序を持ち、国内外の臨床試験で同感染症に対する再発抑制効果が認められていることなどから、5%の有用性加算IIを適用した。薬価は、200mg1錠が3943.80円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数2万1000人、販売額17億円。
▽スピラマイシン錠150万単位「サノフィ」(サノフィ):スピラマイシンを有効成分とする先天性トキソプラズマ症の発症抑制薬。原価計算方式で算定した。同剤は、国内外のガイドラインで胎児のトキソプラズマ感染を防ぐ標準治療薬と位置づけられていることなどから10%の有用性加算IIを適用。さらに、希少疾病用医薬品として指定を受けていることから10%の市場性加算を適用した。原価開示度の加算係数は0.6。
薬価は、150万国際単位1錠が224.60円。予測市場規模は、ピーク時の2年目に患者数494人、販売額1億円。
▽エンタイビオ点滴静注用300mg(武田薬品):ベドリズマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とする中等症から重症の潰瘍性大腸炎治療薬。アッヴィの「ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL」を比較薬とし、類似薬効比較方式Iで算定した。同剤は、臨床試験で抗TNFα抗体治療歴のある患者でも有効性が認められていることなどから10%の有用性加算IIを適用した。
薬価は、300mg1瓶が27万4490円。予測市場規模は、ピーク時の4年目に患者数1万2000人、販売額212億円。
▽シグニフォーLAR筋注用キット10mg、同30mg(ノバルティスファーマ):パシレオチドパモ酸塩を有効成分とするクッシング病治療薬。同社の「シグニフォーLAR筋注用キット40mg」を比較薬とし、規格間調整により同40mgと同60mgの規格間比を用いて算定した。
薬価は、10mg1キット(溶解液付)が10万3034円、30mg1キット(溶解液付)が26万0258円。予測市場規模は、ピーク時の3年目に患者数67人、販売額8200万円。
▽イミフィンジ点滴静注120mg、同500mg(アストラゼネカ):デュルバルマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とする切除不能局所進行非小細胞肺癌治療薬。中外製薬の「テセントリク点滴静注1200mg」を比較薬とし、類似薬効比較方式Iにより、小野薬品の「オプジーボ点滴静注20mg」と同100mgの規格間比を用いて算定した。
同剤は、国内外の診療ガイドラインに初の標準的治療法として推奨されていることから、10%の有用性加算IIを適用した。
薬価は、120mg2.4mL1瓶が11万2938円、500mg10mL1瓶が45万8750円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数4200人、販売額374億円。
▽ガザイバ点滴静注1000mg(中外製薬):オビヌツズマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とするCD20陽性の濾胞性リンパ腫治療薬。原価計算方式で算定し、外国平均価格調整により引き上げた。同剤は、未治療患者を対象とした国際共同第III相試験でリツキシマブと化学療法の併用群に比べて無増悪生存期間の有意な延長が検証され、海外の診療ガイドラインで標準療法として推奨されていることから20%の有用性加算IIを適用した。原価開示度の加算係数は0.2。
薬価は、1000mg40mL1瓶が45万0457円。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数5500人、販売額205億円。
▽レフィキシア静注用500、同1000、同2000(ノボノルディスクファーマ):ノナコグベータペゴル(遺伝子組み換え)を有効成分とする血液凝固第IX因子製剤。CSLベーリングの「イデルビオン静注用2000」を比較薬とし、類似薬効比較方式IIで同2000と同1000の規格間比を用いて算定した。
薬価は、500国際単位1瓶(溶解液付)が21万6394円、1000国際単位1瓶(溶解液付)が42万7968円、2000国際単位1瓶(溶解液付)が84万6403円。予測市場規模は、ピーク時の6年目に患者数83人、販売額37億円。
▽オデフシィ配合錠(ヤンセンファーマ):有効成分のリルピビリン塩酸塩、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩を配合した抗HIV薬で、緊急収載品目。類似薬効比較方式Iが適用され、算定薬価は1錠6043円となった。予測市場規模は、ピーク時の10年目に患者数1300人、販売額28億円。
オプジーボに用法用量変化再算定
また、薬価制度の抜本改革により、8月に切除不能な進行再発の非小細胞肺癌の効能・効果に対し、固定用量への一部変更承認がされた小野薬品の抗癌剤「オプジーボ点滴静注20mg」「同100mg」に用法用量変化再算定を適用。薬価は、20mg2mL1瓶が現行の5万7225円から3万5766円、100mg10mL1瓶が現行の27万8029円から17万3768円に大幅に引き下げられる。
新薬収載の機会を活用して薬価を見直す改革を踏まえた対応で、11月1日から新薬価が適用される。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
新薬9成分13品目の薬価が厚生労働省から発表されました。濾胞性リンパ腫治療薬「ガザイバ」は、20%の有用性加算、抗癌剤「オプジーボ」は、11月から薬価が約37%引き下げられることになりました。