山本会長、「承服しかねる」と批判‐諮問会議の改定議論への介入
日本薬剤師会の山本信夫会長は12日の定例会見で、昨年12月21日の経済財政諮問会議で、民間議員から「診療報酬の改定についても諮問会議で議論すべき」との発言があったことについてコメントした。
これまで診療報酬改定は、社会保障審議会で全体の基本方針を決め、それに従って中央社会医療保険協議会で個別項目の点数配分に関する審議を行うという方向で進められてきた。
しかし、昨年12月の諮問会議では、「診療報酬のあり方にまで言及」しており、改定に向けた「議論の過程にまで口を挟むという風潮が進んでいくのは承服しかねる」と述べた。
次期改定は、消費増税延期の影響などで財源不足に陥り、厳しくなると予想されるが、「財源がない中で金をよこせというのは無体な話」としつつも、「必要なところにお金を出さないというのは問題がある」とけん制した。
また、政府の意向を反映する形で高額な抗癌剤「オプジーボ」の薬価が引き下げられたことについても言及。C型肝炎治療薬「ソバルディ」「ハーボニー」などを念頭に、「これまでのような維持・寛解ではなく、治癒につながるものも増えてきた。もはや、医薬品は医療技術と同じ効果を持つようになってきている」と強調。医薬品の価値を判断する際には、効果や患者のQOL向上にどれだけ寄与したかなどに重きを置いた「評価軸にすべき」との考えを示した。
年末には、2018年度改定の方向性が決まっているが、「医療は、それぞれの職種が専門性を発揮し、チームを組んで守るもの」とし、「どこかが歪めばチームの和が乱れる」と指摘。「どこかが著しくへこむような改定にならないよう、最大限の努力をしたい」と述べた。
一方、昨年10月からスタートした健康サポート薬局の都道府県への届出状況についてもコメント。
全国で「3ケタを超えた程度」「まだ2ケタ」などの情報が飛び交う中、「要件が厳しいということもあるのだろう」とした上で、健康サポート薬局が、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的機能に健康サポート機能を上乗せしたものであることに触れ、土台となるかかりつけ薬局が「しっかりしていないと壊れてしまう。多少、スピードが遅いというのは分かる気がする」との認識を示すと共に、「まずは地域でかかりつけ制度がしっかり担保されていることが重要」とし、着実な運用を求めた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本薬剤師会の山本信夫会長は2016年12月の経済財政諮問会議で、民間議員から「診療報酬の改定についても諮問会議で議論すべき」との発言があったことについて、改定に向けた「議論の過程にまで口を挟むという風潮が進んでいくのは承服しかねる」とコメントしました。また、医薬品の価値判断基準については効果や患者のQOL向上にどれだけ寄与したかなどに重きを置いた「評価軸にすべき」との考えを示しています。