山本日薬会長「悪質極まりない」‐メディシスの無診察処方問題
日本薬剤師会の山本信夫会長は9月28日の定例記者会見で、メディカルシステムネットワークの連結子会社「シー・アール・メディカル」の社員(薬剤師、元取締役)が、病院で医師の診察を受けずに処方箋を作成し、医療用医薬品を販売していた問題について言及。どちらが無診察処方を働きかけたのかは「分からない」としつつも、「他の医療職にも影響しており、遺憾というのを超えて、まさに悪質極まりない」と非難した。
メディシスは9月19日に東京港区の東京事務所で開いた会見で、社内調査によって連結子会社の社員が、無診察の処方箋を取り扱っていたことを確認したと発表。同社の田中義寛取締役専務執行役員が、「こうした事態が再び繰り返されないよう、徹底した再発防止策を策定すると共に、役職員の法令順守の徹底を図り、信頼回復に努めていく」と謝罪した。
山本氏は、クオールやアイセイ薬局の不正請求事案に比べても、「今回の件はさらに上の、わが国の社会保障制度、医療保険制度そのものを揺るがしかねない問題。悪いことに甲乙をつけるつもりはないが、質の悪さから言えば極めて悪質」と指摘し、「行政にはしかるべき処置を取っていただくようにお願いしてある」と述べた。
ただ、この事案には薬剤師も関与しているため、薬剤師の職能団体として、「きちんと社会にお詫びしなければならない」ともした。
さらに山本氏は、発覚してから半年近くが経過しているクオールやアイセイ薬局の不正請求問題で、その後の動きがないことに対しても不快感を示し、「何の動きも聞こえてこない。どうなっているのか、会としても、一般の薬剤師としてもおかしな話」と強調。
日薬として、行政側に現在の状況を確認する考えを示すと共に、「このままでは当然、“何もしないのか”という声も上がってくる」とし、「きちんとした対応を取るよう働きかけたい」と語った。
薬剤師の「行動規範」‐7日の会長会で素案提示
また日薬は同日の会見で、現在、策定を進めている薬剤師の「行動規範」の素案を、今月7日に都内で開催する2017年度第3回都道府県会長協議会で示すことを明らかにした。
行動規範は、現行の「薬剤師倫理規定」の改定版として検討が進められているもの。「倫理規定」では、身内で守らなければならない決まり事と捉えられやすく、自主性・主体性が強い規定とするため、「行動規範」に改称。日薬内に特別委員会を設置し、議論を進めている。
日薬が今年5月に示した「中間まとめ」では、これまでの条文形式を箇条書きに改め、前半部分に義務・信条的な項目、後半部分に実務的な項目を記載するようにしたほか、新たに「セルフメディケーションの支援」や「医療資源配分の公正・公平性」「患者の自己決定権の尊重」「学術発展への寄与」「職能基準に基づく実践」――など6項目を設けるなどの変更を行ったことが分かっている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
メディカルシステムネットワークの連結子会社「シー・アール・メディカル」の社員(薬剤師、元取締役)が、病院で医師の診察を受けずに処方箋を作成し、医療用医薬品を販売していた問題で、日本薬剤師会の山本信夫会長は悪質と非難。何らかの対応を取るよう働きかけたいと発言しました。
また、日薬は、現行の「薬剤師倫理規定」の改定版となる、薬剤師の「行動規範」の素案を、今月7日に都内で開催する2017年度第3回都道府県会長協議会で示す予定です。