思い込みで小児薬を調製‐過量投与例に注意喚起
日本医療機能評価機構は、小児に正しい処方が出ていたにもかかわらず、計算間違いや思い込みにより薬剤の調製を間違え、過量投与した事例を15日付の「医療安全情報」で報告し、関係者に注意喚起した。
小児に正しい処方が出ていたものの、薬剤の調製を間違え、過量投与した事例は5件。具体的には、2歳の患児にプログラフ注射液2mg(0.4mL)を0.18mg/48mLに調製し、持続静注を開始するとき、小児科医は注射オーダに「生食19.6mLとプログラフ0.4mLを混ぜ0.1mg/mLとし、そのうち1.8mLを生食と足して計48mLとする」と調製方法をコメントしていた。
ただ、薬剤師が計算したときに計算式を誤り、0.18mgのところ1.8mgとし、その後、医師のコメントと照合しなかったため、本来0.1mg/mLとしたプログラフ1.8mLのところ18mLで調製し、投与した。翌日、薬剤部でプログラフを調製したとき、前日の調製間違いに気づいた。
別の事例では、0カ月の患児に「バンコマイシン40mg+生理食塩水5mL 5mL/h 1日3回」の指示があった。本来、バンコマイシン0.5gを生食5mLで溶解し、そのうち0.4mLが40mgになるが、看護師は1gを100mgと思い込み暗算。確認のため、別の看護師にバンコマイシン0.5gを生食5mLで溶解して4mLでいいか口頭で伝え、その看護師は自分で計算しないまま「そうです」と答えたため、思い込みのまま調製し、投与した。翌日、バンコマイシンの血中濃度の上昇を認め、調製間違いに気づいた。
こうした事例が発生した医療機関に対し、同機構は小児に薬剤を投与するとき、薬剤部では鑑査時に計算式を確認すると共に、調製時、投与量の計算過程を記録し、2人で確認するよう注意喚起した。また、医師に対して、処方箋のコメント欄に希釈方法を具体的に記載するよう求めた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本医療機能評価機構は小児へ過量投与した事例を15日付で報告し、注意喚起しました。記事中でも具体的な事例に触れられています。