毎年薬価改定に対応へ‐原料・資材の在庫圧縮図る
沢井製薬の澤井光郎社長は3日、大阪本社で記者会見し、毎年薬価改定のジェネリック医薬品(GE薬)業界への影響について言及。「われわれはGEの安定供給のために6カ月分の原材料、仕掛品、剤商品の在庫が必要で、中間年改定の導入はGE企業の経営に多大な影響を及ぼす」との見方を示した。
澤井氏の説明では、2年ごとの薬価改定の場合、原薬調達から製品製造まで1年半の余裕があるが、毎年改定では新しい薬価対応の原薬を購入し、製造を初めてもすぐに次の薬価改定が行われることになり、製品価格の引き下げに伴う原価率上昇など「利益面で非常に厳しい局面を迎える」という。このため「原材料の在庫を極力少ない状態で安定供給できる生産体制を取り組んでいくかが毎年改定を迎えていく上で非常に重要になる」とし、原材料在庫の圧縮なども進めていく考えを示した。
また、「薬価制度の抜本改革で最も影響を受けた長期収載品目の動きが大きなポイント」と強調した。GE薬80%達成時期についても「2020年1月」との予測を示しつつ、「長期収載品目がGE薬に置き換わらない状況になれば後ろに振れるし、勢いを増せば前倒しになる」との見方を示した。
またGE薬への置き換えに影響を与えるものとしてGE薬収載後に出てくるオーソライズド・ジェネリック(AG)、いわゆる「後追いAG収載」を挙げた。澤井氏は、AG収載後の置き換え率については、「ティーエスワン」や「レバミピド」で高まっていることを説明。「長期収載品目とAGがかなりのシェアをとる状況で、今後の80%達成時期にも影響するだろう」とする一方で「当社製品はAGに切り替えられないような営業に取り組んでいく」と強調した。
また、今後のGE薬業界について「再編・統廃合が出てくるだろう」とし、同社が中期経営計画で掲げる戦略的提携を視野に入れた業界ネットワーク構築についても「当社の弱い部分を補完したい」とその方向性を述べ、点眼剤や外用剤、薬効群ではオンコロジーや精神科領域のほかバイオシミラーなどにも照準を合わせていく考え。「どういうところと手を組めば、もっと成長できるのか、GE薬の置き換え率や価格の影響を勘案して検討したい」とした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
沢井製薬社長は、毎年薬価が改定されるGE薬について「利益面で非常に厳しい」とし、原材料在庫の圧縮を進めていく考えを示しました。また、GE薬8割達成時期は「2020年1月」と予測しています。