湿布薬保険外しで意見対立‐何日分相当かレセプトに記載
中央社会保険医療協議会は11日に総会を開き、湿布薬など市販品類似薬の保険給付をめぐって議論した。支払側委員は「湿布薬は基本的に保険給付の対象から外すべき」と主張。1回の処方で70枚までの処方制限を設け、70枚を超える場合はその理由と何日分に相当するか記載することを要件にすべきと求めた。これに対し、診療側の医師委員は「高齢者の運動機能改善に役立っている」などと述べ、保険外しへの反対姿勢を強調した。
この日の総会で、厚労省が示した湿布薬の処方状況を見ると、モーラステープ、ロキソニンテープなど代表的な湿布薬の処方箋1枚当たりの調剤料の分布から、1回の処方で70枚(10袋)を超えて調剤される例が8.9%あった。1回の処方で70枚以上が調剤されている状況は、都道府県によって様々であり、調剤レセプトでは外用薬の用法の記載を省略できるため、調剤された湿布薬が何日分に相当するのか明確でなかった。そのため、レセプトに処方された湿布薬が何日分に相当するか記載することを論点に示した。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「湿布薬については、基本的に保険給付の対象から外すべき」と主張。1回の処方上限を定め、1回70枚の処方制限を要件に定めるよう要望し、1回の処方枚数が何日分に当たるのかレセプトに記載することを義務づけるほか、1回70枚を超える処方については、その理由をレセプトに記載することを要件にすべきと提案した。
これに対し、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「その地域の気候や病院、診療所までの距離が違う」として、一律に制限を設けることに反対を表明。中川俊男委員(日本医師会副会長)も「高齢者の運動機能の改善などに、湿布薬がどれだけ役立っているか理解してほしい」と保険外しに反対した。
松原謙二委員(日本医師会副会長)は「1回の処方で70枚を超える量について、何とか考えてほしいという意見はその通り」と多量投与への問題意識には理解を示し、万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)も「湿布薬の処方にいろいろな状況はあるが、多量処方されているのは間違いない」との考えを示した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
湿布薬など市販品類似薬の保険給付について、保険支払い側と診療側の意見が対立しています。「湿布薬は1回の処方につき70枚まで」という制限を設けるか、決定までにはまだかかりそうです。