疑義照会は薬剤師の義務「議論の必要ない」‐日薬 石井副会長
処方権と調剤権の格差是正
日本薬剤師会の石井甲一副会長は20日の定例会見で、19日の中央社会保険医療協議会総会で幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)と中川俊男委員(日本医師会副会長)が「処方権と調剤権の格差是正」をめぐって激論を交わした件について、「あらためて議論する必要はない」とコメントした。
石井氏は、処方権について、「患者の診断結果に基づいて治療薬を選択するもので、医師が持っている職能」との認識を示す一方で、医師が出した処方箋に対して、「疑義があるかどうか、問題があるかどうかをチェックし、調剤するのが薬剤師の役目」と説明。「それぞれ、独立した職能人として行っているもの」と述べ、「あらためて処方権、調剤権の議論をする必要もない」との考えを示した。
ただ、「処方箋通りに何も疑義をはさまず、調剤せよというのは間違っていると思うし、それは医師も分かっていること」と述べ、医師への疑義照会が薬剤師の義務であることを強調した。
日薬学術大会での幸野氏の発言が発端となり、中医協の場で処方権と調剤権の議論に発展したことについては、「保険者側からの『薬剤師はもっと頑張れ』という激励だと受け止めている」と語った。
また、中医協での安部好弘委員(日薬常務理事)による「調剤権の拡大ということではなく、薬剤師に求められる役割・義務を果たすことが重要だ」との発言に対しては、「妥当な発言だと思っている」との認識を示した。
リフィル処方箋‐日薬が主張する段階にない
中医協で、導入の是非にまで議論が及んだ「リフィル処方箋」については、「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)に「リフィル処方箋の検討」が盛り込まれていることに触れつつ、「分割(調剤)であろうがリフィルであろうが、長期処方や慢性疾患が増えていく中で選択肢の一つだと考えている」とし、「医療保険での位置づけを中医協で議論してもらい、医療に役立つのであればわれわれも参加していきたい」との認識を示した。
ただ、「医師の同意、考えがなければできない。日薬が無理矢理リフィルにしなさいと主張する段階にはない」と述べた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本薬剤師会の石井甲一副会長は、2016年10月20日(木)に行われた定例会見で、「(医師が出した処方箋に)疑義があるかどうか、問題があるかどうかをチェックし、調剤するのが薬剤師の役目」と説明し、「処方箋通りに何も疑義をはさまず、調剤せよというのは間違っていると思うし、それは医師も分かっていること」と、疑義照会が薬剤師の義務であることを強調しました。