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セファゾリン、病院間で融通~厚労省が具体策を通知へ

薬+読 編集部からのコメント

海外メーカーの原薬に異物が混入していたことから、3月上旬より供給が停止されていた抗生物質「セファゾリン」(日医工)について、厚労省は医療機関同士でセファゾリンと代替薬を相互に融通する案を示し、これが厚生科学審議会感染部会に了承されました。この案に対して、部会では肯定的な意見が大半を占めたそうです。なお日医工では今秋にもセファゾリンの生産を再開する見込みです。

厚生労働省は17日、3月上旬から供給を停止している日医工の抗生物質「セファゾリンナトリウム注射用『日医工』」(一般名:注射用セファゾリンナトリウム)について、医療機関同士での融通を求める案を厚生科学審議会感染症部会に示し、了承された。手術や治療を実施できない医療機関の発生を防ぐための措置で、具体的な融通メカニズムを記載した通知を早期に関係団体に発出する考え。また、生産・流通等の安定性を確保するため、複数の抗菌薬の情報収集を継続的に行う方針も決めた。


日医工のセファゾリンをめぐっては、海外メーカーの原薬に異物が混入していたことなどを受け、3月上旬から供給を停止。ただ、原薬を入手できるメドがついたことなどから、日医工は今秋にも生産を再開し、秋の終わりから年末にかけて供給に着手する考えを示している。

 

この日の部会で厚労省は、セファゾリン供給停止の影響に関し、各メーカーや医療機関に対する調査結果を公表。日医工のセファゾリンを供給停止しても今年のセファゾリンと代替薬の出荷総量は昨年を上回るペースになるとした一方、セファゾリンと代替薬の入手しやすさは医療機関により差があることから、患者ごとで最適な抗菌薬を使用できないケースが一定程度生じているとした。

 

これら調査結果を踏まえ、供給再開まで手術や治療を実施できない医療機関が出ることを防ぐため、医療機関同士がセファゾリンと代替薬を相互に融通するよう厚労省が呼びかけることとした。

 

また、抗菌薬の生産や流通等は感染症対策に大きな影響を与えることから、公衆衛生上の重要性や流通などの安定性を確保するため、複数の抗菌薬を選定し、継続的に情報収集することとした。

 

厚労省からの案に対して、釜萢敏委員(日本医師会常任理事)は「供給停止により、現場で苦労している現実がある。どの医薬品を優先的に確保するかなど、予め十分な対策を講じることを決めるのは重要」と述べた。大曲貴夫委員(国立国際医療研究センター病院国際感染症センター長)は「融通する際、使用経験がない医薬品を使うことは大きな壁となるので、呼びかけは心強い」と述べるなど、肯定的な意見が大半を占めた。

 

 

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出典:薬事日報

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