薬剤師の役割強化求める~根本厚労相に要望書提出
全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)は、「薬害根絶デー」の前日である23日、薬剤師が医薬品のリスク管理計画(RMP)を活用して害作用の部分を速やかに把握することを目指し、職能を十分に発揮するため薬剤師研修や保険療養上の評価のあり方を検討することなどを求める要望書を、根本匠厚生労働相(写真右)に手渡した。
要望書では、病院や薬局におけるRMPの活用割合が著しく低い現状について、「薬剤師が職能を十分に発揮できていないことが要因」とし、病院における薬剤師の増員や薬剤部の機能強化を行うため、薬剤師研修や保険療養上の評価のあり方も含めて検討に着手することを求めた。
また、医薬品副作用被害救済制度の充実についても要望。被害に対する最初のサポート体制の不備によって救済が受けられなくなっている患者が見られる現状を踏まえ、被害者に対する金銭給付に限定しないケア体制の創設が急務とした。
製薬企業の広告や、プロモーション資材について、配布後に拡散して事務的対応が困難なことやMRが提供可能な情報の範囲も明確でないとし、医療用医薬品の広告活動監視モニター事業において、十分な実態調査を行い、法制化の検討を開始すべきとした。
HPVワクチンの被害者救済に進展が見られないとし、副反応に関する実態把握と全数追跡調査を行い、被害者全員の救済を進めるべきとした。
陣痛促進剤の副作用として、添付文書に胎盤早期剥離と脳内出血を追記するほか、無痛分娩時に過剰投与とならないための注意を記載することも求めた。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の安全部門の大幅増員と質的向上を早急に実施すること、添付文書を国が責任を持つ公文書に位置づけ、電子化を契機に利用しやすい書式に改めるべきとした。
要望書を受け取った根本厚労相は「誓いの碑の趣旨を改めて心に刻み、職員一人ひとりが職責の重さを忘れることなく、医薬品の品質、有効性、安全性の確保に最善の努力を重ねていく」と述べた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
8月24日の薬害根絶デーの前日、薬被連が要望書を手に根本厚労相を訪問。要望書には病院や薬局におけるRMPの活用割合が著しく低い現状について「薬剤師が職能を十分に発揮できていないことが要因」とあり、病院における薬剤師の増員、薬剤部の機能強化を行うため、薬剤師研修や保険療養上の評価のあり方も含めて検討に着手することが求められていました。要望書を受け取った根本厚労相は「医薬品の品質、有効性、安全性の確保に最善の努力を重ねていく」と述べています。