長期品下げ期間短縮を~AG上市時に先発品撤退も
薬価部会で議論
中央社会保険医療協議会薬価専門部会は25日、次期薬価制度改革に向けて、長期収載品の段階的引き下げまでの期間のあり方について議論した。委員からは、後発品への置き換え率が一定以上の先発品の薬価引き下げまでの期間短縮を求める声や、有効成分だけでなく、製法等が先発品と同一であるオーソライズドジェネリック(AG)の上市と同時に、先発品を市場から撤退することなどを求める意見が上がった。
前回改定では、後発品への置き換え率が80%以上の長期収載品をG1、80%未満の品目をG2に区分して段階的に薬価を引き下げるなどの制度が導入された。この日の部会では、長期収載品の段階的引き下げまでの期間のあり方について議論した。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「G1、G2の導入から間もないこともあり、現時点では知見が少ない。全ての長期収載品について、G1、G2の適用時期を早めるのが良いかどうかは慎重に見極める必要がある」と述べた。
一方、最初の後発品の薬価収載後5年を経ても置き換え率が80%未満にとどまる先発品の薬価を特例的に引き下げるZ2制度ついては「後発品への置き換えが進んでいる品目やAGに相当する後発品が上市されている場合は、Z2が適用されるまでの期間を短縮すべき」とした。
支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は「近年の後発品メーカーの製造体制や製品競争力の強化などを踏まえると、置き換え率が80%以上の高い品目は段階的引き下げまでの期間を短縮していい」としつつ、「置き換えが進んでいないG2の品目については、後発品メーカーの動向や影響をしっかりと分析した上で、慎重に検討すべき」とした。
吉森氏はAGにも言及し、「有効成分だけでなく原薬なども先発品と同等と考えると、先発品メーカーへの経営的配慮も特段必要なく、Z2、G1、G2の適用までの期間を短縮しても良い」と述べた。
幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も「AGは権利を譲渡するので、AGが上市された時点で猶予期間なしに先発品が価格を揃えるか、撤退すべき」とした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
次期薬価制度改革に向けて、中央社会保険医療協議会薬価専門部会で「長期収載品の段階的引き下げまでの期間のあり方」について議論がされました。前回の改定でG1(後発品への置き換え率が80%以上の長期収載品)、G2(同80%未満の品目)に区分した引き下げ制度が導入されました。診療側の松本委員はG1、G2の導入からまだ期間が浅く、知見が少ないことから、適用時期を早めることに対し「慎重に見極めるべき」と提言。幸野委員からは製法等が先発品と同一であるAGの上市と同時に、「先発品が価格を揃えるか、撤退すべき」との意見も出ました。