医師の不安感、依然高く~後発品調査結果めぐり議論
東京都は4日、後発品安心使用促進協議会を開き、都が実施した後発品に関するアンケート調査結果を報告した。1425人の患者を対象に後発品の認知度を尋ねたところ、96.4%が「聞いたことがある」と回答した一方、6割以上の病院、診療所が後発品に「不安感がある」と回答しており、依然として医師の不安感が根強いことが分かった
アンケートは、昨年9月14日~10月8日にかけて病院、病院医師、診療所、薬局、薬局訪問患者、保険者を対象に実施したもの。その結果、患者の後発品に対する認知度は高いものの、6割以上の病院、病院医師、診療所が後発品に対して「不安感がある」「どちらとも言えない」と回答した。
詳細を見ると、病院で不安に対する理由で最も多いのは「供給不足による院内採用薬の変更」が約54%、病院医師と診療所では「添加物の違いに不安感がある」との声がそれぞれ約65%、約68%あった。
永田泰造委員(東京都薬剤師会)は、これらの結果を踏まえた上で「現場の医師が、後発品は先発品と何か違うという感覚的なものを持っているのはどこかに問題がある」と指摘。「こうした様々な問題が全て情報提供ということに集約されている」と述べ、添加物や原薬など後発品に関する正しい情報提供の重要性を訴えた。
小川聡子委員(東京都病院協会常任理事)は、「病院へのアンケートは幹部に聞いている場合が多い」とし、「現場で実際に患者と接する医師に後発品に関する正しい情報提供できるかが今後の活動のポイントになる」との見方を示した。
また、アンケートでは、後発品を希望したが切り替えることができなかった患者192人に理由を聞いたところ、「後発品が存在しない医薬品であるから」が49.5%と最も多く、次いで「後発品をすぐに取り揃えられないから」(在庫がないから)の回答が20.8%あった。
永田氏は、患者の訪問時に偶然在庫がなかった可能性も考慮した上で、「都内であれば24時間以内に取り置くことはできる。そういう対応を理解していないのは薬局として問題」と指摘。後発品に関する情報提供も含め、都薬としても対応していく考えを示した。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
東京都が1425人の患者さんや医療機関を対象に実施した「後発品に関するアンケート調査」の結果が後発品安心使用促進協議会にて報告されました。後発品に対して96.4%の患者さんが「聞いたことがある」と回答した一方で、6割以上の病院、診療所が後発品に「不安感がある」と回答しており、依然として医療側の不安感が根強いことが判明しました。不安の内訳は「供給不足による院内採用薬の変更」「添加物の違いに不安感がある」など。東京都薬剤師会では後発品に関する正しい情報提供も含めた対応を実施していく考えです。