【本紙調べ】薬大の8割が卒業式中止~新型コロナがシーズン直撃
全国の薬系大学74大学の8割で今年度の卒業式・学位授与式を中止したことが、本紙の調べで明らかになった(表参照)。新型コロナウイルス感染症の拡大が3月の卒業シーズンを直撃した格好で、未だ感染が広がりを見せる状況では、大勢の学生や保護者が一堂に会する式典実施は難しいと判断した模様だ。一方、卒業生や学部代表者と教職員のみで規模を縮小して実施した大学も見られ、薬学生の新たな門出を祝う舞台の確保と感染拡大防止に苦慮する様子がうかがえた。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、国内でも大規模イベントの中止や自粛が進んでおり、薬業界ではきょう25日から京都で開催予定だった日本薬学会第140年会が中止となったほか、各種研修会や講演会等の中止が相次ぐなど影響が出ている。
こうした情勢は、3月の卒業シーズンを迎えた大学の卒業式の開催可否の判断にも大きく影響。今月上旬から始まった薬系大学の卒業式も相次いで中止される事態となっている。本紙の調べでは、薬系大学74校中59校(79.7%)が卒業式を中止し、15校(20.3%)については何らかの形で卒業式を実施したことが分かった。
具体的に見ると、青森大学は規模を縮小した上で実施。東北医科薬科大学の卒業証書・学位授与式は、規模と時間を縮小して卒業生のみで行われ、学生代表に卒業証書が授与され、それを講義室に控えている卒業生に映像配信する方法で行われた。
東京大学は、学部代表者のみで実施。式典の様子をインターネット配信した。大阪大学も全体の式典は中止となったが、学部代表者のみと規模を縮小して開催する。
明治薬科大学、昭和大学、国際医療福祉大学、岐阜薬科大学、長崎国際大学は卒業生のみで実施。城西国際大学、高崎健康福祉大学、北陸大学、広島大学も規模を縮小して実施した。富山大学は全体の式典は中止し、学部ごとに授与式を実施した。
いずれの大学も、十分な感染防止対策を講じた上で卒業式・学位授与式を実施するなど、過去に前例のない異例の卒業シーズンとなった。当初、規模縮小して開催予定だった大学でも直前に中止を決断する大学も見られた。
卒業式・学位授与式は、薬学生の新たな門出を祝う人生の重要な節目となるだけに、各大学とも苦渋の決断を迫られたようだ。
一方、4月からの新入生を迎えての入学式の開催も厳しい情勢だ。23日時点で薬系大学の約7割に当たる54大学が中止を決定しており、慶應義塾大学と昭和薬科大学は延期を公表している。
これに対して、開催予定と表明しているのは12大学となっているが、直前に判断が変わる可能性もある。開催を検討中の大学も6大学ある。
また、卒業式は開催したものの、入学式の中止を決定した大学や、卒業式を中止して入学式は規模を縮小して開催予定の大学もあるなど、様々な対応が見られている。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
薬事日報社の調べによると、全国の薬系大学74大学の8割で今年度の卒業式・学位授与式が中止となりました。薬業界では3月25日から開催予定だった日本薬学会第140年会(京都)が中止となったほか、各種研修会や講演会等の中止が相次ぐなど影響が出ています。卒業式・学位授与式は、薬学生の新たな門出を祝う節目なだけに、各大学とも苦渋の決断を迫られた模様です。また、卒業式は開催したものの、入学式の中止を決定したり、反対に卒業式を中止して入学式は規模縮小で開催予定の大学もあるなど、様々な対応が見られています。