薬大定員割れ、5割に迫る~新設で入学増も厳しさ反映【薬事日報調査】
全国の薬科大学・薬学部の2020年度入学者について、定員を割り込む大学がさらに増加していることが、本紙の調査で明らかになった。昨年度は全体の40%が定員割れとなっていたが、今年度は入学者が判明している74大学のうち34校(45.9%)と5割に迫る厳しい事態となった。今年度の入学定員数は、3校で定員削減が行われた一方、薬学部新設と増員により定員数は1万2980人と、昨年度から145人の増加に転じた。入学者数は、初年度に学部入学者数が確定しない北海道大学、東京大学、金沢大学を除く74校で定員1万2745人に対し1万2056人(94.6%)と昨年度比で35人増加した。
今年度は、岐阜医療科学大学薬学部(定員100人)と国際医療福祉大学福岡薬学部(定員120人)が新設され、わが国の薬科大学・薬学部は過去最多の77校となったことから、定員数も増加した。
全国の薬科大学・薬学部の設置数は02年度まで47校となっていたが、03年度以降の「新設ラッシュ」によって毎年新設が続き、20年度までに30校が増加。薬科大学・薬学部の設置数は、02年度から1.6倍にまで急増したことになる。
ただ、定員数は08年度に1万3494人と過去最多を記録して以来、緩やかな減少傾向が見られており、最近は1万2900人前後で推移している。こうした状況を受け、各大学では昨年度に続き、定員数を削減する動きが相次いだ。今年度は北陸大で40人、安田女子大で20人、就実大で20人の定員削減が行われた。その結果、2校の新設があったものの、定員数は1万2980人と昨年度を145人上回るにとどまった。
入学者数については、初年度に学部入学者が確定しない北大(一部確定)、東大、金沢大を除く74校で定員1万2745人に対し1万2056人が入学した。定員に対する入学者数の割合は94.6%と低下傾向にあり、今年度に100%を下回ったのは34校と約46%に上ることが明らかになった。
昨年度は定員1万2600人に対し1万2021人(95.4%)、18年度は1万2705人に対し1万2320人(97.0%)となり、各大学で定員数の削減が続く中、入学者数も減少傾向が見られている。
大学別でもバラツキが見られる傾向が続いている。初年度に学部入学者数が確定する74校の状況では、入学者が定員以上となったのは40校(54.1%)。このうち、105%以上は19校、110%を超えたのは2校となり、入学者数の適正化が進みつつあることがうかがえる。
一方、入学者数が定員を割り込み90%以下となった大学は22校あった。その中で、80%以下は17校、70%以下は13校、60%以下は8校と増加傾向にあった。定員の50%以下と大きく割り込む大学は3校と、昨年度から減った。
6年制、4年制の別で見ると、6年制学科は定員1万1648人と昨年度から161人増加。4年制学科は昨年度から横ばいの1348人であった。
このうち、6年制については入学制度が異なり、学部・学科別の入学者数が確定しない北大、東北大、千葉大、東大、金沢大、京大の6校を除く71校では定員数1万1330人に対し、入学者数は1万0760人(95%)となった。4年制についても、北大、金沢大、京大など6校を除く22校では、定員1021人に対し1032人が入学した。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
全国の薬科大学・薬学部の設置数は2002年度の47校から、毎年新設が相次ぐ「新設ラッシュ」により2020年度までに30校が増加。その設置数は18年間で1.6倍まで急増したことになります。今年度は、岐阜医療科学大学薬学部(定員100人)と国際医療福祉大学福岡薬学部(定員120人)が新設され、過去最多の77校となり、定員数も増加しましたが、薬事日報社の調査によると2020年度入学者については、定員を割り込む大学がさらに増加していることが明らかになりました。昨年度は全体の40%が定員割れとなりましたが、今年度は入学者が判明している74大学のうち34校(45.9%)と5割に迫る厳しい事態となっています。