後発品も安全管理求める~「レナリドミド」対応案
安全対策調査会で了承
薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会の安全対策調査会は21日、セルジーンの抗造血器悪性腫瘍剤「レナリドミド」について、後発品にも先発品と同様に胎児への曝露防止を目的とした管理手順に基づいた安全管理を行うよう求める対応案を了承した。複数の後発品企業が開発を希望していることに備えたもの。
同剤では、ヒトにおける催奇形性が発現する可能性があるため、胎児への曝露防止を目的とした適正管理手順(RevMate)を遵守するよう関係者に義務づけている。
一方、数年前から複数の後発品企業が同剤の開発に意欲を示しており、この日の調査会で厚生労働省は、後発品における安全管理の対応案を示した。
複数の安全管理手順が併存すると、現場の混乱を招くおそれがあるとして、後発品にもRevMateに基づいた安全管理を行うことを原則とし、医療機関への企業担当者の定期的な訪問など、先発品と同等の管理体制を整備することを求めた。
ただ、何らかの事情でRevMate以外の管理手順の使用を希望する場合、必要性や妥当性も含めて可否を個別に検討することとした。
先発品企業と後発品企業の安全管理体制を共有するかどうかについては後発品企業の判断に委ねることとし、先発・後発の企業間連携のあり方は今後、検討するとした。
委員からは、患者の経済的負担軽減の観点から後発品の参入に好意的な声が複数上がり、対応案への反対意見は出なかった。
ただ、後発品企業による製造工程上の不正事案が相次いだことを踏まえ、石井伊都子委員(千葉大学医学部付属病院薬剤部長)は「相当な注意を払って製造しないと社会的な影響が非常に大きい薬剤で、承認申請の過程で担保できるか懸念がある」と述べた。
また、舟越亮寬委員(亀田総合病院薬剤管理部長)は、「各社の担当者が個別に来訪すると、現場が煩雑になる。代表者が一元的に来訪してはどうか」と指摘した。
エンペシドが第1類へ
また、この日の調査会では、要指導医薬品で抗真菌剤の「クロトリマゾール」(販売名:エンペシドLクリーム=バイエル薬品、デリーザLクリーム=佐藤製薬)について、一般用医薬品の第1類として製造販売することも審議し、了承した。7月10日から一般用医薬品に切り替わる予定。
同剤は、膣ガンジダの再発による発疹を伴う外陰部のかゆみを効能・効果としている。バイエルと佐藤製薬の2社で共同開発したものだが、佐藤製薬のデリーザは未発売となっている。
バイエル薬品のエンペシドは、2018年7月から製造販売され、3年間の製造販売後調査期間が終了することから、一般用医薬品に切り替えることが適当か審議した。
製造販売開始後3年間の報告症例数を見ると、特別調査1001件のうち、副作用は1例3件報告されたが、重篤、未知な副作用は共に見られなかった。一般調査では、副作用1例4件のうち、未知な副作用は投与部位の疼痛、腫脹、刺激感が各1件報告された。
これらの結果を踏まえ、寺内公一参考人(東京医科歯科大学大学院教授)が「副作用は少なく、いずれも非重篤なので大きな問題はない」との見解を示したことなどから、一般用医薬品として製造販売することを了承した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
ヒトにおける催奇形性発現の可能性があるため、胎児への曝露防止を目的とした適正管理手順を遵守するよう関係者に義務づけられているセルジーンの抗造血器悪性腫瘍剤「レナリドミド」について6月21日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会の安全対策調査会は、後発品にも先発品と同様に胎児への曝露防止を目的とした管理手順に基づいた安全管理を行うよう求める対応案を了承しました。複数の後発品企業が開発を希望していることに備えた処置となります。