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【製薬大手22年3月期中間決算】二桁成長の好決算が続出~主力品牽引、全世界で稼ぐ

薬+読 編集部からのコメント

武田薬品、アステラス製薬、第一三共、エーザイなど国内大手製薬企業4社の2022年3月期中間決算(連結)が出揃いました。4社共に引き続き主力グローバル製品が好調で、薬価改定などの影響で不振が目立つ日本市場を除けば、全世界において着実に売上を稼ぎ出している状況がうかがえます。アステラスを除く3社は、円安の追い風も背景に二桁の増収営業増益を達成。アステラスも製品の契約終了や減損損失の影響がなくなり成長軌道に回復しています。通期は、主力品の拡大を背景に、売上高は4社とも増収が予想されています。

国内大手製薬企業4社の2022年3月期中間決算(連結)が出揃った(表参照)。大手各社は主力のグローバル製品が引き続き好調で、円安の追い風も背景に、アステラスを除く3社は二桁の増収営業増益を達成した。製品の契約終了や減損損失の影響がなくなったアステラスも成長軌道に回復。第一三共とエーザイは通期業績予想を上方修正し、さらなる上積みを狙う。通期も成長トレンドが継続する見込みで、武田は積極的な研究開発投資で営業減益を予想するものの、アステラス、第一三共、エーザイの3社は増収営業増益を達成する見通し。グローバル展開を一層加速させる大手4社の視界は良好だ。

 

 

売上高を見ると、武田は、主力のグローバルブランド14製品の売上高が11.4%増と二桁成長を実現。消化器疾患領域は、トップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」が23.6%増の2559億円と大幅に伸び、8月に発売した短腸症候群治療薬「レベスティブ」も10.9%増と順調に発進。全体で13.0%増となったほか、癌領域も11.3%増と好調に推移し、円安の追い風も背景に全体で12.8%の大幅増収となった。

 

アステラスは、主力品の前立腺癌治療薬「イクスタンジ」が全世界で二桁成長を達成し、18.7%増の2676億円とさらに売上を伸ばした。急性骨髄性白血病治療薬「ゾスパタ」も50.3%増と大幅に成長。尿路上皮癌治療薬「パドセブ」の共同販促収入も51.5%増と寄与し、5.9%の増収となった。独占販売期間や販売提供の終了の影響がなくなったことから、成長軌道に回復した格好だ。

 

第一三共は、グローバル主力品の抗癌剤「エンハーツ」が約1.9倍増の328億円と急成長を続け、抗凝固薬「エドキサバン」(一般名)も日本と欧州、アジア・中南米の成長を背景に、25.4%増と大きく売上を伸ばした。国内事業のジャパンビジネスユニットも、薬価改定やワクチン事業の販売提携終了を乗り越え、2.2%の増収を確保した。

 

エーザイも、グローバルブランド主力品の抗癌剤「レンビマ」が中国で大きく成長し、34.0%増の918億円と伸長。抗癌剤「ハラヴェン」は7.1%増、抗てんかん薬「フィコンパ」も15.6%増と二桁の伸びを示したほか、抗体薬物複合体「MORAb-202」に関する米ブリストルマイヤーズスクイブとの戦略的提携による契約一時金が寄与し、14.3%の二桁増収を達成した。

 

22年3月期中間期は、4社共に主力のグローバル製品が引き続き好調で、薬価改定などの影響で不振が目立つ日本市場を除けば、全世界において着実に売上を稼ぎ出している状況がうかがえる。

 

一方、利益面では、武田は国内で帝人ファーマに売却した糖尿病治療薬の譲渡益などにより、営業利益は60.5%増と大幅増益を確保。第一三共も増収効果で営業利益は44.9%増となった。

 

エーザイも抗てんかん薬「ゾネグラン」の権利を英アドバンスに譲渡したことなどにより、営業利益は78.7%増と大幅な増益を確保した。アステラスは、フルベースで営業利益が3.8%増となった。

 

通期は、主力品の拡大を背景に、売上高は4社とも増収を予想。利益面では、積極的な研究開発投資を予定する武田を除く3社が営業増益を見込んでおり、特に第一三共とエーザイは業績予想を売上高、営業利益、当期利益共に上方修正している。総じて大手4社は好調な決算で着地しそうだ。

 

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出典:薬事日報

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