手代木社長「海外でも臨床試験実施へ」~開発中のコロナ経口薬【塩野義製薬】
塩野義製薬の手代木功社長は1日、都内で開いた中間決算説明会で、開発中の新型コロナウイルス感染症の経口投与治療薬「S-217622」について、9月末から国内で第II/III相試験を開始したものの、感染者数が急減したことから、目標症例数を集めるために海外でも試験を実施する方針を明らかにした。予定通り、年内の国内申請を目指す考え。
第II/III相試験は、無症候や軽症の感染患者約2100人を高用量、低用量、プラセボの3群に分けて実施する計画。感染者が減少する国内だけでこの症例数を確保するのは困難と判断し、海外の症例も組み込むことを決めた。韓国とシンガポールで10日以降、患者組み入れが始まる見込みで、同様にベトナムやイギリスでも開始する見通し。
3群計1000例強の中間解析で、承認申請に必要な有効性や安全性のデータを示せる可能性があると見ている。手代木氏は「できる限り年内の承認申請というタイムラインを崩さずに進めていこうと思っている」と語った。
現在、海外展開に向けて、グローバル第III相試験の実施を欧米の規制当局と協議中。海外に導出するため複数の製薬企業と交渉しており、手代木氏は「年内にはパートナーを決めたい」と話した。
一方、国内第II/III相試験を開始した新型コロナウイルス感染症ワクチン「S-268019」については、目安としていた3000人の被験者を短期間でほぼ確保できたと説明した。
並行して今月中に三つの臨床試験をグローバルで開始する計画。その一つが、プラセボ対照に発症予防効果を評価する第III相試験で、ベトナムを中心にアジアで実施する予定。
手代木氏は、「日本発のワクチンだけ発症予防試験の実施経験がない。せめて1~2社、発症予防試験を実施できる力を持つことは国としても大事ではないか」と強調した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
開発中の新型コロナウイルス感染症の経口投与治療薬「S-217622」について、塩野義製薬の手代木功社長が11月1日、9月末から国内で第II/III相試験を開始したものの、感染者数が急減したことから、目標症例数を集めるために海外でも試験を実施する方針を明らかにしました。手代木氏は、「日本発のワクチンだけ発症予防試験の実施経験がない。せめて1~2社、発症予防試験を実施できる力を持つことは国としても大事ではないか」と強調しています。