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認定薬局、要件見直しへ~他県の状況踏まえ検討

薬+読 編集部からのコメント

1月28日に開催された東京都薬事審議会において、改正医薬品医療機器等法によって2021年8月からスタートした地域連携薬局、専門医療機関連携薬局の認定状況が説明され、要件見直しを求める声が上がりました。すでに患者対応や地域の医療機関との連携が十分に取れている薬局にとって、要件を満たすのが困難であり、認定取得の障害になることを懸念したものです。開始後間もない制度とあって、東京都では他の道府県の状況も見た上で対応を検討する考えを提示しています。

東京都薬事審議会が1月28日に開かれ、昨年8月からスタートした認定薬局制度に対して、要件見直しを求める声が上がった。既に患者対応や地域の医療機関との連携が十分に取れている薬局にとって要件を満たすのが難しく、認定取得の障害になることを懸念したもの。都は開始後間もない制度として、他の道府県の状況も見た上で対応を検討する考えを示した。

 

都はこの日の審議会で、改正医薬品医療機器等法により昨年8月から開始した地域連携薬局、専門医療機関連携薬局の認定状況を説明。12月末時点で、地域連携297軒、専門医療機関7軒とし、このうち、チェーン薬局の割合は地域連携で約6割、専門医療機関で約6~7割を占めるとした。

 

同制度の開始前から認定要件の厳しさを指摘してきた永田泰造委員(東京都薬剤師会会長)は、「数十年にわたって患者の面倒を見て、周辺の医療機関とも連携できている薬局が地域連携薬局になれないのはハードルが高く、望ましくない」と改めて強調し、「KPIで数値を求めると結果的にこれらの薬局は実績は出ないが、要件を考え直してほしい」と訴えた。

 

福祉保健局健康安全部の早乙女芳明薬務課長は、申請後に不認定や認定取り消しを受けた薬局はないと説明した上で、「よちよち歩きの段階だが、少しずつ同制度の課題も見えてきている。全国の様子も見た段階で国に話を持っていき、薬剤師会とも情報交換したい」との考えを示した。

 

また、河野安昭薬事監視指導課長は認定薬局の課題に言及。地域の医療機関に勤務する薬剤師等への報告実績月平均30回以上とする要件に対して薬局ごとにバラツキがあることや、無菌調剤に対応可能な薬局も少ないとした上で、「無菌調剤に対応可能な薬局は大体2割くらいで、他は共同利用等で運用している。ある程度の認定件数に達したら、集計して傾向を見た上で来年の審議会に報告できると思う」との見通しを示した。

 

一方、この日の審議会では、小林化工や日医工など後発品メーカーによる製造不正事案と、後発品の適切な製造管理・品質確保に向けた都の具体的な取り組みも報告された。

 

中島真弓薬事監視担当課長は、「無通告の立入検査を強化しており、OJT等で職員の専門性向上に努めることで調査の質を高め、不正を見抜けるよう教育したい」と説明。

 

成田昌稔委員(東京医薬品工業協会理事長)は、「行政の監査も大事だが、最後は人材の問題だ。メーカー内では法規制、GMP対応を各社で点検しており、会員外も含めて研修、人材育成に取り組みたい」との考えを示した。

 

小池盛明委員(東京保健生活協同組合理事)も、「後発品の薬価は安くなっていくため、製造コストが見合わない。薬価制度のあり方、特に最低基準を守れないと製造コストを下げる方向に行くので、単純に取り締まりを厳しくすることでは不正を回避できない」と指摘した。

 

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出典:薬事日報

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