薬剤師会

日薬、改めて反対姿勢示す~調剤の外部委託で議論

薬+読 編集部からのコメント

3月15日、政府の規制改革推進会議医療・介護・感染症対策ワーキンググループ(WG)が調剤業務の外部委託について議論。薬剤師団体側が改めて実施に難色を示しました。日本薬剤師会は1月のWGでも「責任の所在を不明瞭にし、新たなリスクを伴い、患者の医療安全の確保が困難」として、外部委託に反対する考えを示していましたが、あらためて監査実施の難しさや個人情報漏洩を危惧。ほかにも日本保険薬局協会が調剤の一連業務のうちどの工程を委託するかなど、想定している外部委託の内容を明確化するよう求めました。

政府の規制改革推進会議医療・介護・感染症対策ワーキンググループは15日、調剤業務の外部委託について議論し、薬剤師団体側が改めて実施に難色を示した。日本薬剤師会は、監査実施の難しさや個人情報漏洩を危惧したほか、日本保険薬局協会(NPhA)は調剤の一連業務のうちどの工程を委託するかなど、想定している外部委託の内容を明確化するよう求めた。

 

この日のWGで國峯孝祐弁護士(國峯法律事務所)は、外部委託した場合の責任の分担に関する考えを整理、公表した。刑事・行政責任については、受託した薬局に所属する薬剤師にあるとした一方、委託した薬局が不正確な処方情報を送信して結果的に患者に被害が生じた場合などは、委託した薬局に所属する薬剤師に責任が生じると説明。

 

また、委託する薬局の判断で外部委託する場合でも、刑事・行政責任共に、現行よりも重くなることはないとの見解も示した。

 

日薬は1月のWGでも、「責任の所在を不明瞭にし、新たなリスクを伴い、患者の医療安全の確保が困難」として、外部委託に反対する考えを示していた。

 

この日の会合でも、「機械化やデジタル化、イノベーションを否定するものではない」とする一方、外部委託に関する確実な監査は難しく、患者の死亡事故が発生していること、個人情報の漏洩事例も多数確認されているなどとして、改めて外部委託に反対した。

 

NPhAも、「機械化により安心・安全につながる可能性もあるが、どのような委託のあり方が良いかは精査が必要」として、調剤業務のどの工程を委託するか、最終監査や薬剤交付はどちらが行うかなど、検討を進める上での共通認識として、どのような外部委託を想定しているか明確にするよう求めた。

 

一方、日本フランチャイズチェーン協会に加盟するローソンは、OTC医薬品を販売するコンビニを拡大するため、協会が従来から提案している薬剤師等の有資格者を介した遠隔販売実現のほか、登録販売者の管理者要件緩和も要望した。

 

登録販売者が薬剤師や実務経験のある登録販売者が店舗にいない場合に1人で販売を行うためには、医薬品医療機器等法の施行規則で定める「過去5年以内に2年以上で計1920時間の実務経験」とする管理者要件を満たす必要がある。

 

しかし、同社は1日8時間勤務で20日間勤務すれば1年間で1920時間に達するとして、通算2年以上の実務要件を撤廃するよう求めた。

 

要望に対して、厚生労働省は2年間に設定した理由を「1年目に季節性のある商品も含めた知識の獲得、2年目に従業員を管理・監督するためのスキルを身につけるため」と説明した上で、「管理者になる上で必要な最低限の期間を緩和することは適切でない」と回答した。

 

内閣府規制改革推進室は「規制改革を求めていく方向で委員のコンセンサスを得ていると理解している」として、議論を続ける見通しを示した。

 

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出典:薬事日報

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