医療

薬学部設置協議会を設立~例外措置適用で開設目指す

薬+読 編集部からのコメント

9月30日、沖縄県は「県内国公立大学薬学部設置推進協議会」を立ち上げ、薬学部新設に向けた具体的な検討に着手しています。薬剤師不足の解消や薬剤師の偏在解消、地域医療の向上などの狙いがあり、2023年度以降に県内国公立大学から薬学部設置先を決定する方針です。

設置先は「23年度以降」

沖縄県は、有識者や行政関係者、大学関係者で構成された「県内国公立大学薬学部設置推進協議会」を立ち上げ、薬学部新設に向けた具体的な検討に着手した。9月30日に初会合を開催し、11月中旬の第2回会合で薬学部設置時期などを盛り込んだ「沖縄県内国公立大学薬学部設置に係る基本方針」の素案を示す。今年度中に基本方針をまとめ、2023年度以降に県内国公立大学から薬学部設置先を決定する。文部科学省が薬学部新設や定員抑制を法制化する方針を打ち出す中、抑制方針の例外措置を適用した形で実現を目指す考えだ。

 

同協議会は9月、11月、来年1月の3回開催する計画。前濱朋子氏(沖縄県薬剤師会会長)を委員長に、中村克徳氏(沖縄県病院薬剤師会会長)、糸数公氏(沖縄県保健医療部部長)、太田茂氏(和歌山県立医科大学薬学部長)、金城正英氏(名桜大学学長補佐〈法人企画戦略担当〉)、平良喜彦氏(琉球大学総合企画戦略部部長)、佐々木有朋氏(山口東京理科大学事務局長理事)の7人が委員となった。県の行政機関や薬剤師会の会長、最近数年間で薬学部を設置した国公立大学の関係者で構成する。

 

初会合では、薬学教育を取り巻く環境と県内での薬学部新設の効果などの調査結果について説明が行われ、県内国公立大学における薬学部設置の意義と期待される役割や、県内国公立大学への薬学部設置で求められる県の支援などをめぐり意見交換した。

 

県は、薬剤師不足の解消や薬剤師の偏在解消に加え、保健所や地方衛生研究所等の保健衛生行政機関の職員、学校薬剤師などの人材を安定供給し、地域医療の向上に貢献できるなどと意義を説明した。

 

現時点で委員の発言内容は明らかにしていないが、県によると「踏み込んだ意見が出ていた」という。

 

11月中旬に行われる第2回協議会で薬学部設置に向けた基本方針の素案を示し、来年1月中旬の第3回協議会で指摘事項を踏まえた基本方針案を公表する予定。その後、協議会がまとめた基本方針案を県が最終化する。

 

沖縄県の薬剤師不足は深刻な状況にある。20年12月現在、人口10万人当たりの薬局・医療施設に従事する薬剤師数が全国平均の198.6人に対し、148.3人と全国最下位の状況が続いており、今年度から「県内国公立大学薬学部設置推進事業」を開始した。

 

ただ、大学薬学部をめぐる国の政策は変化しており、文科省は関係告示の改正後、25年度開設予定の学部・学科から適用開始する薬学部新設や収容定員増の抑制方針を打ち出している。私立大学だけではなく、国公立大学も対象となっている。

 

薬剤師不足など地域偏在が生じている都道府県については例外措置が設けられているが、「なぜ沖縄県に薬学部が必要なのか、国に納得してもらえる基本方針を作らないといけない」(県保健医療部衛生薬務課)としている。

 

来年度以降に大学薬学部の設置先を決定する計画としている。薬学部新設や定員抑制の例外措置期間は「一定期間」とされており、それに間に合うよう設置に向けた準備作業を急ぐ方針である。

 

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出典:薬事日報

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