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精神神経系薬で投稿多く~SNS活用した安全対策

薬+読 編集部からのコメント

PMDA(医薬品医療機器総合機構)が、SNSを安全対策の一環として活用するための試行調査結果を公表。精神神経系薬剤についてはSNSの投稿数や全投稿に占める副作用投稿割合が非常に高い数値となっており、SNS活用が適した医薬品である可能性がうかがえる結果となっています。既知の副作用に関する投稿が多いため、PMDAでは未知の副作用をいかに識別するかが課題としています。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を安全対策の一環として活用するための試行調査結果を公表した。精神神経系薬剤についてはSNSの投稿数や全投稿に占める副作用投稿割合が非常に高い数値となっており、SNSの活用が適した医薬品である可能性がうかがえる結果となった。糖尿病治療薬ではSNSへの投稿数、副作用投稿数共に多く見られるが、ほとんどはダイエットの不適切な使用目的によるものだった。既知の副作用に関する投稿が多かったため、PMDAでは未知の副作用をいかに識別するかが課題としている。

 

PMDAは、医薬品の安全対策に用いる副作用情報の多くが医療関係者から製造販売業者を経て報告されていることから、情報の入手経路の多様化を推進している。患者や医療関係者、一般消費者のSNS利用拡大により、副作用情報が一定程度投稿されていることを踏まえ、SNSを安全対策に活用できるか試行調査を行った。

 

SNS情報の取得先としては短文投稿サービス「ツイッター」を選定。対象医薬品には「インチュニブ」「エムガルディ」「キイトルーダ」「コミナティ」「シルガード9」「スパイクバックス」「タリージェ」など24医薬品を選んだ。

 

SNSから対象となる医薬品に関する投稿を取得し、取得した投稿文から副作用疑い症状をAIが抽出した。昨年7~9月、同9~11月のそれぞれ1カ月間の計2回、各品目で副作用レポート作成を実施した。

 

1巡目では、医薬品に関連した投稿件数4万7133件のうち副作用投稿2679件(5.68%)を抽出した。2巡目では、より確度を高めるためキーワード設定の絞り込みやAIのチューニングを実施した結果、3万0665件のうち副作用投稿件数として2156件(7.03%)を抽出した。1巡目と2巡目で副作用症状の検知にかかる人間の目視によるオペレーション工数は50%程度向上した。

 

その結果、医薬品ごとにバラツキがあるものの、SNS上でも多くの副作用投稿が検知され、その多くが既知の副作用だった。医薬品が承認され、販売開始となるタイミングで一般消費者、医療関係者共にSNSの投稿が多く見られ、その後徐々に減っていく傾向が観測された。

 

「インチュニブ」「タリージェ」「デエビゴ」「トリンテリックス」「レイボー」については、投稿数や全投稿に占める副作用投稿割合が非常に高い数値となっており、精神神経系薬剤はSNSにおいて関連投稿が活発に行われやすいことがうかがえた。

 

糖尿病治療薬のSGLT2阻害剤「フォシーガ」、GLP-1受容体作動薬「リベルサス」についてもSNSへの投稿数や副作用投稿数が多く見られるが、そのほとんどがダイエット目的で不適切な使用目的によるものだった。

 

新型コロナウイルス感染症関連医薬品、子宮頸癌ワクチン「シルガード9筋注」についてもSNSへの投稿数が多かった。

 

PMDAは「SNSで投稿されやすい医薬品とそうでない医薬品があることが確認された。疾患領域、副作用の発生頻度、医薬品自体の認知度や処方量など、どのような指標との相関や因果関係が認められるか検証していく必要がある」としている。既知の副作用に関する投稿が多く、未知の副作用の識別も今後の課題としている。

 

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出典:薬事日報

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