【感染症学会など声明】エタンブトール、過剰購入控えて~抗結核薬の供給不足懸念
日本感染症学会、日本化学療法学会、日本結核・非結核性抗酸菌症学会、日本呼吸器学会の4学会は、抗結核薬・抗酸菌症薬のエタンブトールについて、国内シェアの約半数を占める後発品メーカーのサンドから生産停止が通知され、復旧見通しが5月末メドとなっていることから、過剰な購入を控えるよう医療機関向けの合同声明を発表した。エタンブトールが不足する事態を憂慮し、代替薬を選択したり、特段の理由がない限り長期処方をしないことを求めている。
エタンブトールは、肺結核およびその他の結核症、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症を対象に保険適用されているが、国内シェアの約半数を占めるサンドから、海外生産ライン上の問題で5月下旬まで生産停止となることが通知された。
現在、サンドはエタンブトール250mg錠、同125mgの生産を中止しており、国内では科研製薬でも生産されているものの、急な事態に不足分を増産できるか不透明な状況にあるのが現状。こうした事態を踏まえ、4学会は医療機関に対し、エタンブトールを過剰に購入することを控えるよう要請したほか、医薬品卸に対して自施設に優先してエタンブトールの納品を強いることも医療の公平性の観点から控えるよう求めた。
代替薬剤については、結核標準治療の代替薬として、同じ一次結核薬に属するストレプトマイシンが使用可能との見解を示した。代替薬として結核医療の基準に記載されていないものの、効果と有害事象の観点から、二次抗結核薬であるレボフロキサシンへの代替が許容されるとの考えも示した。ただ、非結核性抗酸菌症に対する投与については代替薬がないとの見解を示し、医師に対して、患者が自宅に持っている余剰のエタンブトールの有無を確認し、余剰がある場合は先に内服してもらうよう指導と処方の調整を求めた。
今後の処方について、特段の理由がない場合は長期処方を控えるよう要請し、全ての患者にエタンブトールが行き渡るよう協力を求めた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
抗結核薬・抗酸菌症薬のエタンブトールが、国内シェア約半数を占める後発品メーカー・サンドから生産停止が通知され、復旧見通しが5月末メドとなっています。そこで日本感染症学会、日本化学療法学会、日本結核・非結核性抗酸菌症学会、日本呼吸器学会の4学会が過剰な購入を控えるよう医療機関向けの合同声明を発表しています。