医療

緊急避妊薬に試験販売案~一部薬局で先行的に検討

薬+読 編集部からのコメント

2022年12月から約1カ月間にわたり厚労省がOTC化に関する意見を募集している緊急避妊薬「ノボノルゲストレル」について、同省が5月12日「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開き、パブリックコメントを踏まえた対応策が議論されました。購入者の背景などデータ収集を行った上で検証することが必要として、全国の一部薬局でOTC販売の試験的運用を開始するよう求める提案が構成員から上がっています。

厚生労働省は12日、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(写真)」を開き、緊急避妊薬「ノボノルゲストレル」のスイッチOTC化に関するパブリックコメントを踏まえた対応策を議論した。購入者の背景などデータ収集を行った上で検証することが必要として、全国の一部薬局でOTC販売の試験的運用を開始するよう求める提案が構成員から上がった。

同剤をめぐっては、昨年12月から約1カ月間にわたり厚労省がOTC化に関する意見を募集。寄せられた意見4万6312件のうち、賛成が4万5314件、反対が412件と、賛成意見が反対意見の100倍以上を占める結果となった。

 

具体的には、「一部地域での試験的運用を前提に18歳以上は誰でも購入できるようにすべき」「誤った服用方法に関する説明は説明書や動画等への誘導で足りるので、薬剤師の対面販売や事情聴取等を必要とする根拠が乏しい」などのコメントが見られた。

 

パブコメ内容を踏まえ、堀恵構成員(ささえあい医療人権センターCOML)は「全ての対応策を講じるには時間がかかるし、慎重に進める必要もある。早急に一部地域における試験的運用をスタートさせ、購入者の背景、安全性・有効性等に関するデータを収集・分析することで同剤をどのように販売するか重要な判断要素となる」と提案。

 

医師、薬剤師構成員を中心に堀氏の提案に賛同する声が相次いだ一方、佐藤好美構成員(産経新聞社論説委員)は地域の偏在なく同剤にアクセスできる必要性を強調し、「一部地域の薬局ではなく、地域の一部薬局で実施する方が適切だ。地域内で数カ所アクセスできる薬局を確保すべき」と訴えた。

 

宗林さおり構成員(岐阜医療科学大学薬学部教授)も「薬剤師の研修がどれほど必要か、どんな場合に産婦人科医につなげるかなどを決めた上で、薬局数を絞りながら全国で幅広に運用する方が良い」と同調した。

 

試験的運用の提案に対して、吉田易範医薬品審査管理課長は「効果的だが、現在は処方箋を持参した人にしか同剤を提供できないので、法的な根拠や妥当性も検討する必要がある。薬剤師の責任問題が発生する可能性もあるので、実施の可否も含めて早急に整理したい」と回答した。

 

同剤へのアクセスのあり方に関して、磯部総一郎構成員(日本OTC医薬品協会理事長)は性交後の72時間問題を踏まえ、「中学校区の単位で薬局がカバーすることを考え、対応可能な薬局が1万カ所に最低でも1軒が必要」と述べた。

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出典:薬事日報

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