創薬・臨床試験

【厚労研究調査】国際治験参加で中国台頭~第III相割合は日本に並ぶ

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働行政推進調査事業の調査によりますと、外資系グローバル製薬企業が企画・実施する国際共同試験への日本の参加が2021年~22年は参加割合に頭打ち傾向にあることが判明。これまで中国が参加する試験との比較では、日本の参加割合が中国を大きく上回っていましたが、近年は差が縮小。今後、参加割合で中国が日本を逆転する可能性もありそうです。

外資系グローバル製薬企業が企画・実施する国際共同試験への日本の参加が2021年~22年は参加割合に頭打ちの傾向にあることが、厚生労働行政推進調査事業「適切な医薬品開発環境・安定供給及び流通環境の維持・向上に関する研究」(研究代表者:北里大学薬学部成川衛教授)の調査で分かった。さらに中国が参加する試験との比較では、過去に日本の参加割合が中国を大きく上回っていたが、近年は差が縮小。直近となる22年開始の国際共同第III相試験は日本と中国の参加割合がほぼ同じ値を示し、参加割合で日本を逆転する可能性もありそうだ。

 

国内での医療用医薬品売上高上位10位までの外資系企業がスポンサーとなり、08年以降に開始された国際共同試験数、試験への日本、中国の参加状況を調べたところ、米国と欧州5カ国(仏・独・英・伊・スペイン)の少なくとも1カ国が参加する国際共同治験2434試験のうち、日本は906試験(37.2%)、中国は533試験(21.9%)に参加していた。

 

米国と欧州3カ国が参加した1484試験では、日本が参加したのが707試験(47.6%)、中国が参加したのが436試験(29.4%)だった。日本の参加は過去10年で数・割合共に着実に増加し、18年度薬価制度抜本改革後の19年、20年も同程度の増加を示したが、21年、22年は参加割合に頭打ちの傾向が見られた。

 

一方、中国については10年代初めから参加の数・割合共に増加が見られ、特に日本の参加割合に停滞が見られる21年、22年でも増加傾向が継続している。

 

過去、日本の参加割合は中国を大きく上回っていたものの、近年は差が縮小している。22年開始の試験では第III相試験への参加割合はほぼ同じ値を示し、第II相試験でもその差が縮小する傾向にある。

 

報告書では「より多数の症例の組み入れが必要となる試験では、将来の上市も念頭に、中国も実施国に加えるという状況が強まっているものと推察される」としている。

 

一方、革新的新薬の日本市場への早期導入に向け、薬価算定時の有用性系加算の加算率適用状況を調査した結果、有用性加算IIについて、適用された加算率が5%または10%の品目が全体の97.9%を占めるなど、全体的に低い加算率の適用事例が多かった。

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出典:薬事日報

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