ヘルスケア77兆円市場に~公的保険外で需要開拓へ
経済産業省の健康・医療新産業協議会は24日、新しい健康社会の実現に向けた「アクションプラン2023」を公表し、50年には公的保険外となるヘルスケア・介護の国内市場について、20年比で3倍増の77兆円に拡大する方針を打ち出した。健康寿命を16年の72歳から40年に75歳以上に引き上げ、OTCやサプリメント、ヘルスツーリズムなど健康づくりのヘルスケアサービス、介護向けの市場を広げていきたい考え。一方、医療機器では、世界の医療機器市場のうち日本企業の獲得市場を20年の3兆円から50年には13兆円の達成を目指す。
アクションプランでは、PHR・健康経営等の施策を推進することで、健康づくり・公的保険外の介護領域で50年に累計77兆円市場を構築する目標を掲げる。現在、公的保険外で患者、要支援・要介護者の生活を支援することを目的とする健康づくりのヘルスケアサービスが19兆円、公的保険外の介護市場が5兆円の計24兆円となっているが、それぞれ58兆1000億円、18兆9000億円に拡大を図る。
詳細な項目に分類した市場規模予測も公表。民間保険が8兆1000億円から15兆6000億円とほぼ倍増、ヘルスツーリズム(健康志向旅行)は2兆9000億円から12兆7000億円と4倍超を見込んだ。
介護用食品、介護住宅、福祉用具など要支援・要介護者向け商品・サービスは5兆2000億円から13兆円と倍増を計画し、サプリメント・健康食品、OTC・指定医薬部外品など「食」に関連するサービスは3兆3000億円から8兆3000億円、健康経営は6000億円から3兆7000億円に引き上げる。
衛生用品、予防接種などの「予防」は2000億円から6兆6000億円と30倍以上、高齢者向け食事宅配サービスなどは2000億円から5兆7000億円への拡大を目指す。
現在は医療機関において公的医療保険や自由診療で実施される医療サービスが中心となっているが、民間事業者における「医師の助言・指導のもとで実施されるサービス」「医療従事者の関与のないサービス」を通じて医療の補完や医療周辺、さらに患者に対する自己啓発を促すサービスに広げ、健康・ヘルスケア産業を開拓していく構想だ。
一方、医療機器はAI医療機器、プログラム医療機器(SaMD)の世界的な拡大を受け、50年に世界の医療機器市場のうち日本企業の獲得市場を13兆円に拡大する。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
8月24日、経産省の健康・医療新産業協議会が、新しい健康社会の実現に向けた「アクションプラン2023」を公表。2050年には公的保険外となるヘルスケア・介護の国内市場について、2020年比で3倍増の77兆円に拡大する方針を打ち出しました。健康寿命を72歳から75歳以上へと引き上げ、OTCやサプリメント、ヘルスツーリズムなど健康づくりのヘルスケアサービス、介護向け市場を拡大していく考えです。