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【ヘルスケア産業PF調査】供給不足問題でカスハラ~薬剤師の半数以上が直面

薬+読 編集部からのコメント

10月26日、労組団体で構成されるヘルスケア産業プラットフォームが、医薬品の供給不足問題に端を発し、医薬品卸、ドラッグストア・薬局の現場で過酷さが増しているとの調査結果を報告しました。ドラッグストア・薬局の薬剤師の半数以上が、薬がないことを理由にカスハラを受けたり、その場面を見聞きしたりしたことがあったそうです。医薬品卸への調査では、20代・30代のうち、この1年の間に退職を考えたことがあるという人が約7割に上りました。

医薬品の供給不足問題で、医薬品卸、ドラッグストア・薬局の現場で過酷さが増しているとの調査結果が26日、労組団体で構成するヘルスケア産業プラットフォーム(PF)から報告された。ドラッグストア・薬局の薬剤師の半数以上が、薬がないことを理由にカスタマーハラスメントを受けたり、その場面を見聞きしたりしたことがあった。医薬品卸の調査では、20代、30代の約7割が謝罪の毎日であることや将来性、給与への不満などからこの1年の間に退職を考えていた。

 

UAゼンセンが9月にドラッグ関連部会運営委員会(11組合)の薬剤師を対象にした、934人から得たアンケート調査によると、医薬品の供給不足を理由にカスハラを受けたことがあるのは42.5%、自身はないが見聞きしたことがあるのは12.0%と、合わせて54.5%と半数以上だった。業務負荷の増加は94.7%が感じていた。

 

顧客から「薬局としての怠慢をお客様に押し付けるのか!こっちは神だぞ!」「薬局のくせに薬を渡せないなんてありえない、店を閉めろ」「体調が悪くなったら責任を取れ」「先発だと金額が上がる。薬を用意できないのは薬局のせいだから、今まで通りの薬を用意しろ!」「薬を用意できないのなら薬剤師を辞めろ」「医薬品卸に圧力をかけろ」などとなじられたとの体験が寄せられた。

 

医師から薬の処方変更を拒否されたり、「何とか用意しろ」などと言われたりしたケースもあったという。

 

医薬品卸側では、同PFが8月中旬から9月上旬にかけて組合員3161人から回答を得た調査によると、この1年で退職を考えたことがある人は全体で54.9%と半数超に上った。そのうち20代は70.9%、30代は67.7%と、若年層の退職意向が顕著だった。

 

退職を考えた理由について、20代、30代からは「後発品の品切れが多すぎる状態が、もう3年以上も続いているにも関わらず、一向に改善が見られず仕事に対するモチベーションが保てなくなってきている」(20代男性)、「出荷調整による緻密な在庫管理、毎日の謝罪、メーカーの代わりにひどく怒られることが多々ある。本来の営業の仕事ができておらず、精神的な疲労と労力が給料に合っていないと強く感じる」(20代女性)、「メーカーと得意先、さらには国との板挟み状態でストレスがかなりかかる。その割に給料も少なく、また休日でも安定供給に関することで問い合わせもある。メリットよりもデメリットの方が多いので辞めるのは自然だと感じるし、辞める若手の背中を押しているのは国や医療業界全体だと思う」(30代男性)などのMSの声が報告された。

 

また、コールセンター担当からは「お得意様には謝り続け、会社からは理想ばかり押し付けられて、かといってサポートやフォローはなく、改善も見られない。(中略)人としての価値や存在意義が軽視されていると常に感じている」(30代女性)との声もあった。

 

退職を考えた理由(複数回答)を集計すると、最も多かったのが「医薬品卸の将来に不安を感じたから」で63.3%、次いで「労働条件に不満があるから」の57.1%、「業務に誇りとやりがいを感じなくなったから」の46.5%だった。

 

職種別では、営業職では「将来に不安」が最も多く、事務職、物流職では「労働条件に不満」が最も多かった。

 

これら結果は、26日に参議院議員会館で行われた緊急課題報告会で与野党議員に説明された。

 

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出典:薬事日報

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