医療

チーム介入で有害事象減~75歳以上の入院患者で 国立長寿医療研究センター

薬+読 編集部からのコメント

国立長寿医療研究センターが、75歳以上の入院患者を対象に、初回介入時と1カ月後の薬物有害事象の発現割合を比較したところ、チームでカンファレンスを行った介入群は、薬剤師単独で薬剤管理指導を実施した介入群に比べて有意に薬物有害事象の発現割合を低下させたことが明らかになりました。

75歳以上の入院患者を対象に初回介入時と1カ月後の薬物有害事象の発現割合を比較したところ、チームでカンファレンスを行った介入群は、薬剤師単独で薬剤管理指導を実施した介入群に比べて有意に薬物有害事象の発現割合を低下させたことが、国立長寿医療研究センターの調査で明らかになった。同センターは「多職種で入院患者に処方介入することは、患者をあらゆる面から評価するため、薬剤師単独よりも薬物有害事象の減少に貢献する可能性がある」と考察している。

 

調査は2016年9月~22年3月にかけて同センターに入院した入院期間が8日以上かつ75歳以上の入院患者を対象に実施した。薬剤師単独による介入群7626例、チーム介入群152例を傾向スコアによるマッチングで、薬剤師単独群99例、チーム介入群99例に調整し、主要評価項目として初回介入時と1カ月後の薬物有害事象の発現割合を比較した。

 

介入1カ月後の薬物有害事象の変化を見ると、薬剤師単独群が41.1%から30.3%となったのに対し、チーム介入群は45.5%から11.1%と大幅に減少した。

 

薬物有害事象の重症度別ではグレード3以上は薬剤師単独群が12例から5例に対し、チーム介入群が7例から1例に減少していた。

 

有害事象は、チーム介入群では主に老年症候群が指摘されていたのに対して、薬剤師単独群では主に臨床検査値からのデータに基づいた項目が指摘されていた。

 

一方、処方薬剤数は、薬剤師単独群が初回介入時に11.4剤、1カ月後に7.6剤、チーム介入群が11.5剤から7.4剤と、剤数の変化では差がなかった。

 

調査結果を受け、同センターは「薬剤師単独群は臨床検査値等の客観的なデータに着目しがちで、老年症候群を十分に指摘できていなかった可能性がある」と考察し、「ADLも低いことから、潜在的な薬物有害事象の発生頻度はもう少し高い可能性がある」と指摘した。

 

また、「入院患者に対して包括的にチームで介入するのは困難であるため、メディカルスタッフの視点評価が重要」とした。

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出典:薬事日報

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