【日薬】カスハラ対応保険を創設へ~ニーズ把握目的に調査
日本薬剤師会は、カスタマーハラスメントが発生した際の初期相談窓口となる外部専門家の紹介や弁護士対応費用等の補償をメドとした「クレーム対応費用補償保険(仮称)」の創設を検討する。22日に都道府県薬剤師会に対し、薬局現場でどの程度カスタマーハラスメントが発生しているかの実態を把握するため、アンケート調査を実施する協力依頼の通知を発出した。一定のニーズが確認できれば保険創設に向けた準備を進める。
日薬は、カスタマーハラスメントについて消費者からの執拗なクレーム、インターネット・SNSの普及等を背景とする一方的な情報発信、女性進出に伴うセクシャルハラスメントの増加など、薬局業務の妨げとなる事象が発生していることを踏まえ、クレーム対応費用補償保険の創設を検討することにした。
同保険では、カスハラが発生した際に初期相談窓口となり得る外部専門家や、当事者間でのトラブル解決が困難な場合における弁護士の紹介、弁護士対応費用等の補償を行うことなどを視野に入れている。
保険の保険料を算出するに当たっては、薬局業務における事故発生率が必要となり、保険会社である損害保険ジャパンからの依頼を受け、9月20日の期限でアンケート調査を実施する。質問項目は「過去2年間、弁護士や専門窓口に相談したいと思った苦情・クレームの件数(過去2年間の合計数)」。アンケートの総回答数を母数に、カスハラ発生回数を分子として、事故の発生数を算出し、保険料設定に使用する。
原口亨副会長は22日の定例会見で、「医療職種に限定せずにカスタマーハラスメントへの対応は職場環境を整える上でも重要。専門家への相談をフォローする手はずを検討している。ニーズを確認した上で詳しい内容に入る準備をしている」と述べた。
日薬は、保険料算出のために必要な最低有効回答数が全国で750件となっていることから、各都道府県薬ごとに約20件の回答を要請している。
HPVワクチン接種で学校での対応求める
また日薬は、HPVワクチンの積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逃した人に対するキャッチアップ接種の機会提供に向け、対象者や保護者に対して自治体からの周知に加え、学校薬剤師から担当する学校に情報提供すると共に、担当校で開催される学校保健委員会等で説明するなどの対応を求めた。
キャッチアップ接種の実施期間は2022年4月から3年間で、今年度は実施期間の最終年度となる。15歳以上の女性のHPVワクチン接種回数は合計3回接種するとされており、標準的な接種間隔で3回の接種を完了するためには約6カ月の期間を要することから、遅くとも9月までに1回目を接種してもらう必要がある。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
カスタマーハラスメント(カスハラ)が発生した際に初期相談窓口となる外部専門家の紹介や、当事者間でのトラブル解決が困難な場合の弁護士対応費用等の補償を視野に入れた「クレーム対応費用補償保険(仮称)」の創設を、日本薬剤師会が検討します。