医療

4年制「薬科学科」新設を計画~三重県薬事工業会の要請で 鈴鹿医療科学大学

薬+読 編集部からのコメント

鈴鹿医療科学大学が、2026年4月から薬学部に4年制の「薬科学科」を新設予定です。新薬の創薬研究を主眼とする既存の4年制学科とは一線を画し、疾患の発症予防や健康寿命延伸に貢献できる人材の育成など、新たな切り口の4年制学科の確立を目指します。

鈴鹿医療科学大学(写真=薬学部がある白子キャンパス)は、2026年4月に薬学部に4年制の「薬科学科」を新設することを決めた。地元の三重県薬事工業会から製薬等関連人材育成の要請を受けたことをきっかけに、方針を決定した。新薬の創薬研究を主眼とする既存の4年制学科とは一線を画し、疾患の発症予防や健康寿命延伸に貢献できる人材の育成など、新たな切り口の4年制学科の確立を目指す。定員は30人の予定で、今後カリキュラムや教員体制などを固め、来年1月に文部科学省に事前書類を提出する計画。同年3月に新設の可否が決まる見込みだ。

同大は08年度に薬学部を新設し、6年制の「薬学科」(定員100人)を運営してきた。学生を集める上で不利な都市部から離れた立地にありながら、薬学部全体の定員充足率は84%と比較的良好だ。薬学科は今後定員の10人減を検討するが、基本的には現体制を維持し、4年制学科と併存させる。

 

薬学部の教員は現在50人。4年制学科開設に当たって、新たに化粧品領域などで8人以上教員を増やす計画だ。6年制学科から4年制学科への教員異動を実施し、4年制学科の低学年次の基礎教育は6年制学科と共通で行うなど、両学科が連携した教育体制を整える。

 

4年制学科の新設は、三重県薬事工業会から人材育成の協力要請を受けたことが発端となった。三重県には、大手製薬各社の工場や地元の製薬企業が存在し、同会会員には県内の医薬品製造業、化粧品・医薬部外品製造業、医療機器製造業の66社が名を連ねる。県内の関連産業が活況を呈する中、必要な人材の確保に苦労しているのが現状で、地元の大学としてその声に応えることを決めた。

 

5月に同大と同会は包括協定を締結しており、今後共同研究や受託研究の推進、研究者や技術者の人的交流と人材育成などで協力する。

 

6年制薬学科の卒業生の5割は薬局やドラッグストア、3割は病院に就職し、地元の製薬関連企業への就職者は年間数人にとどまっていた。同大の理事長を中心に、産業側の要請に応じるためには4年制学科が必要と判断。6月から、薬学部の教員らが4年制学科の概要を急ピッチでまとめる作業に入った。

 

新設予定の4年制学科は、産業界の要望も軸に据えつつ、既存の4年制学科とは異なる切り口のものにしたい考えだ。

大井一弥薬学部長(写真)は「医薬品を中心に病気を予防して健康を支える人材を育成し、超高齢化社会の中で健康寿命の延伸を後押しできる学科にしたい。化粧品、アンチエイジング、スポーツ、栄養などの教育も特色にしたい」と語る。

 

国公立でも私立薬系大学でも、新薬創出に取り組む研究者育成を旗印に掲げる4年制学科は多いが、「それとは毛色の異なる4年制学科を目指したい。新しいモデルになれば良い」と大井氏は話す。

早期体験学習やインターンシップなどで産業界の全面的な協力を得られる見込みで、入学生の確保に向けて、地元産業界との連携は大きな特色になる。卒後の就職先のメドが立つことも入学の動機になるという。

 

三重県に理系学科は少なく、新設予定の4年制学科は理系志願者の受け皿にもなり得る。「これからニーズ調査を行うが、30人くらいは埋まるのではないかとの期待はある」(大井氏)としている。

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出典:薬事日報

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