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【日医 宮川常任理事】OTC類似薬の保険除外~「重大な危険」で容認せず 日本医師会

薬+読 編集部からのコメント

社会保険料の削減を目的としたOTC類似薬の保険適用除外とOTC医薬品化を進める動きについて、日本医師会の宮川常任理事(薬事担当)は定例会見で「重大な危険性が伴う」と懸念を示しました。

日本医師会の宮川政昭常任理事(薬事担当)は13日の定例会見で、社会保険料の削減を目的としたOTC類似薬の保険適用除外とOTC医薬品化を進める動きについて、「重大な危険性が伴う」との懸念を示した。保険適用除外により、疾患が悪化してかえって高額な医療費が発生するなどのリスクを指摘し、容認できないとの姿勢を鮮明にした。

 

OTC類似薬に関する薬剤の自己負担のあり方をめぐっては、自民・公明の与党と日本維新の会が社会保険料の軽減に関する3党協議を進めている。維新の会が同日に取りまとめた社会保険料の負担軽減に向けた改革プランのたたき台では、4兆円の医療費削減に向け、湿布、かぜ薬、胃腸薬等のOTC類似薬を公的医療保険の適用対象外にするよう提言した。

これらの動きを踏まえ、宮川氏は「社会保険料削減を目的に、OTC類似薬の保険適用除外やOTC薬化を進めることには重大な危険性が伴う」と懸念を表明。保険適用除外により、患者の自己判断でOTC薬を使い、適切な治療が受けられずに重篤化して合併症を引き起こし、かえって高額な医療費が発生するリスクを訴えた。

 

また、OTC薬が処方薬と比べて高額なため、経済的に困窮する人を中心に負担が増加し、医療アクセスが制限されることで、結果的に社会全体の健康水準低下につながると指摘。「国全体で確実に多数の人が不幸を背負うこととなり、政策として容認できない。本来求められる政策は、有給休暇を取って適切に受診して回復し、早期に職場復帰して活躍すること」との見解を示した。

 

その上で、「国民生活を支える基盤として、必要な医療は保険医療により確保するという国民皆保険制度の理念を今後も堅持すべきで、給付範囲を縮小すべきでない。安全性・公平性が損なわれないよう慎重な議論とバランスの取れた政策が必要」と述べた。

 

松本吉郎会長も、「医療費削減のみに着目したセルフメディケーションには明確に反対する。医療にアクセスし、医師と相談しながら薬を適正使用することが重要」と主張した。

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出典:株式会社薬事日報社 

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