明確な有効性検証できず~調剤業務の一部外部委託 薬局DX推進コンソーシアム総会

薬局DX推進コンソーシアム(狭間研至理事長)は15日、大阪市内で総会を開き、昨年7月以降国家戦略特区を活用して大阪市内のコンソーシアム加盟の薬局間で実証事業を進めてきた調剤業務の一部外部委託について、患者に影響が出るような問題は発生せず、安全性は担保できたとの成果が報告された。一方、有効性、経済性では実施件数が少なかったこともあり、明確なメリットの検証はできていなかった。同コンソーシアムは4月以降に一般社団法人化を図る予定で、調剤業務一部外部委託の全国への普及支援などに取り組む定款も策定した。
同コンソーシアムが取り組んできた実証事業は、昨年8月29日から開始し、今年1月15日の事業終了までに同一間企業(4社8薬局)で45件、他企業間(9社12薬局)で111件を実施した。これまでの成果物として、契約患者依頼、調剤委受託時の手順書等を作成したほか、薬局間の電子的なデータ連係方法としてNSIPSを有効活用したコンソーシアム共通フォーマット「CSデータ」も構築した。
これにより各分包機メーカーでの共通するデータの受け渡しが可能となり、委受託に関して安全性の確保が整ったという。患者に影響を与えるような問題は発生せず、安全性は担保できたとした。
有効性評価では、対人業務の実績が重視される地域支援体制加算の9項目の変化を委受託実施前後で比較したが、いずれの項目も有意な改善効果は見られなかった。オーダー票の記入が現時点で自動化されていないことや観察期間が短かったことなど、効果判定には継続的な調査が必要になるとの見解も示された。患者や委受託薬局へのアンケートでは、調剤外部委託により地域全体で業務の効率化が改善され、患者の満足度が向上する結果となった。
また、経済性評価では、患者からの同意書の取得や受託薬局へのオーダーシートの作成作業などが新たな時間を要するなど、時間の短縮は明らかにできなかった。現段階では経済性メリットは十分に検証できていない結果となった。今後、CSデータ等のシステムの構築や、委受託が同じ患者を繰り返し行うため同意の時間は大幅に減少すると見られ、時間的なメリットにも期待が寄せられた。
委受託にかかる経費は相互の薬局の収益を計算し、一包当たり25円で実施。総委託回数111件の平均包数は57で、総委託平均費用は1回当たり約1400円となったことも紹介された。
狭間氏は、昨夏から取り組んできた安全性、有効性、経済性の検証については「一定の知見が得られたと考えている」と語った。その上で「今回の大阪の実証モデルで、もう少し有効性と経済性が出てくれば、(改正法施行後に)大阪での成果物を使っていただけるのではないかと考え、成果物を管理するため一般社団法人化を計画している。既に定款もでき上がり、理事の選定も終えて登記段階にある。広く事業者を募る形で完全にオープンにしたい」と語った。
🔽 調剤業務の一部外部委託に関するニュースはこちら
受託者からの再委託は不可~調剤責任は委託薬局に 厚生労働省
出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
薬局DX推進コンソーシアムの総会が大阪府大阪市内で開かれ、2024年7月以降国家戦略特区を活用して大阪市内のコンソーシアム加盟の薬局間で実証事業を進めてきた調剤業務の一部外部委託について、現段階での成果や検証の結果などが報告されました。