第106回薬剤師国家試験の合格基準は?過去の合格率をチェック
>>>2022年「第107回薬剤師国家試験」の最新情報と合格発表後の流れはこちら
2月20日(土)、21日(日)の2日間にわたり行われた第106回薬剤師国家試験。新型コロナウイルス感染症の流行下ということもあり、いつもとは異なる環境のなか勉強を続けてきた受験生の皆さん、本当にお疲れさまでした! 「薬学教育モデル・コアカリキュラム」改訂が反映されることから出題傾向が従来と異なるのではないか、と例年にも増して注目を集めた薬剤師国家試験となりました。SNSの反応を見ると、一部回答のしづらい問題もあり苦戦した様子がうかがえます。「完全相対基準」となる今回、自己採点を済ませて早くも合格発表が気になる方が多いのではないでしょうか。
気になる合格発表スケジュールと、過去9回の薬剤師国家試験の合格率等試験結果を振り返りましょう。
■第106回薬剤師国家試験の合格発表はいつ?
厚生労働省の薬剤師国家試験ページによると、第106回薬剤師国家試験の合格者の発表は、2021年3月24日(水)14時に、「厚生労働省ホームページの資格・試験情報のページにその受験地及び受験番号を掲載して発表するほか、合格者に対して合格証書を郵送する」とされています。
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厚生労働省のホームページで発表が行われるのは例年通りですが、これまで行われていた薬剤師国家試験運営臨時事務所等での掲示発表はなくなり、合格証書の郵送が行われるようです。新型コロナ流行下において合格発表の場に人が集まることを避けるための措置ではないかと推察されます。
■合格率の傾向は?
続いて気になる試験結果について、過去9年間の推移を振り返りましょう。受験者数は2012年から2016年にかけて年々増加傾向にあり、2016年の14,949名をピークにその後は少し落ち着きを見せ、近年は14,000名前後が受験をしています。昨年の第105回薬剤師国家試験の受験者数は14,311名(6年制新卒が9,194名、既卒が4,804名)でした。
<薬剤師国家試験・過去9年間の受験者数>
続いて合格者数です。のちにご紹介する合格率にもあらわれている通り、合格者数は受験者数の増減の推移とは必ずしも連動していません。試験回数によって、受験者数に対して合格者の多かった年と少なかった年があることがわかります。昨年の第105回薬剤師国家試験の合格者数は9,958名(6年制新卒が7,795名、既卒が2,050名)でした。
<薬剤師国家試験・過去9年間の合格者数>
気になる合格率は、下記のように推移しています。2012年には88.31%、2014年には60.84%と、2010年代前半には30%近くも差が出るほどでしたが、直近の4年間は70%前後という合格率に落ち着いています。昨年の第105回薬剤師国家試験の合格率は69.58%(6年制新卒が84.78%、既卒が42.67%)でした。
<薬剤師国家試験・過去9年間の合格率>
■第106回薬剤師国家試験の合格基準は?
合格率が変動する背景には、薬剤師国家試験の合格基準が大きく関係しています。第100回までの薬剤師国家試験は、「全問題の得点数が▲点以上(点数は年によって変動)」という絶対基準だったため問題の難易が合格率に反映されやすい傾向がありました。第101回以降は「相対基準」が導入されたため、合格発表まで合格点が何点になるかがわからないようになっています。また104回薬剤師国家試験からは「禁忌肢」の選択状況も加味されるようになりましたが、合格率にはほとんど影響していないようです。
第106回薬剤師国家試験の合格基準について厚生労働省の発表をもとに見ていきましょう。平成30年8月に厚生労働省が発表した「『新薬剤師国家試験について』の一部改正について」によると、合格基準について以下のように記されています。
以下のすべてを満たすことを合格基準とすること。なお、禁忌肢の選択状況を加味する。
①問題の難易を補正した総得点について、平均点と標準偏差を用いた相対基準により設定した得点以上であること。
②必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の特典がそれぞれ配点の30%以上であること。
(厚生労働省「『新薬剤師国家試験のついて』の一部改正について」平成30年8月より)
また、厚生労働省ウェブサイト「第106回薬剤師国家試験の施行」では、「留意事項」として次のようにも記載しています。
「薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針」(平成28年2月4日医道審議会薬剤師分科会薬剤師国家試験制度改善検討部会)では、「3.(5)合格基準について」において、「その際、これまでの絶対基準を用いた合格基準でなくなることによる教育の現場や受験生の混乱を回避するため、当分の間、全問題への配点の65%以上であり、他の基準を満たしている受験者は少なくとも合格となるよう合格基準を設定する。」の扱いがあるが、第106回薬剤師国家試験より、当該取扱いは適用しないこととする。
(厚生労働省「第106回薬剤師国家試験の施行」より)
つまり、第101回~第105回は合格点が全問題の配点の65%(=225点)を上回ることがないとされてきましたが、第106回からは完全に相対基準となり合格点の上限がなくなります。
新型コロナ禍での受験に加え、出題方針や合格基準の変更など注目の年となった第106回薬剤師国家試験。自己採点を終え試験結果が気になるとは思いますが、試験本番まで努力を続けてきた自分をいたわり、リラックスして過ごしながら合格発表の日を待ちましょう。
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<参考URL>
・厚生労働省「第106回薬剤師国家試験の施行」
・厚生労働省「試験回別合格者数の推移」(令和2年3月24日)
・厚生労働省「『新薬剤師国家試験について』の一部改正について」
※本ページに記載の内容は、2021年2月22日時点の情報をもとにしています。最新の情報は厚生労働省「薬剤師国家試験」ページをご確認ください。
文:薬読編集部