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感涙必至の医療ヒューマンドラマ『リエゾン―こどものこころ診療所―』。自らも発達障害を抱える児童精神科医&研修医が生きづらさを抱える子どもや保護者と向き合う本ドラマの見どころをまとめて紹介します!
児童精神科の日常を描く医療ドラマ『リエゾン―こどものこころ診療所―』の見どころを解説
自らも発達障害を抱える児童精神科医&研修医が、生きづらさを抱える子どもや保護者たちと真摯に向き合う――。感涙必至の医療ヒューマンドラマとして注目されている『リエゾン―こどものこころ診療所―』が放送中! 本作の魅力やキャストの声をお届けします。
佐山卓(演:山崎育三郎)は、郊外にある児童精神科クリニックの院長。自身も発達障害(ASD:自閉スペクトラム症)を抱えていることもあり、発達障害をはじめ、さまざまな生きづらさを抱える子どもとその家族に真っすぐ向き合うことを大切にしています。
研修医の遠野志保(演:松本穂香)は、寝坊や遅刻、忘れ物が日常茶飯事で、業務中もミスを連発。ついには、小児科の研修中に重大な失敗を犯してしまいます。その流れで、自身が発達障害(ADHD:注意欠如・多動症)だと知り、一度は医師になる夢をあきらめかけたものの、佐山との出会いに背中を押されることに……。
本作は、子どもたち一人ひとりが抱える苦悩、その家族の思い、そこに真っ向から向き合う医師たちの姿を通して、感動とともに、その背景にある社会問題を考えるきっかけにもなりそうです。
主演の山崎育三郎(写真中央)、ヒロインの松本穂香(写真左)に加え、臨床心理士役の栗山千明(写真右)など豪華キャストも見どころの一つ。
ドラマのタイトルにある「リエゾン」は、フランス語で「連携」「橋渡し」「つなぐ」という意味。病棟などで精神リエゾンチームを組むとき、精神科医や看護師、臨床心理士はもちろんのこと、薬剤師が参画するケースも多いことは皆さんご存じでしょう。メンタルの不調を抱える患者さんをよい方向へ導く上で、薬物療法に精通した薬剤師の知見は極めて重要です。
本作には、発達障害などの特性を持つがゆえ、時に周囲とぶつかってしまうことがある子どもたちが登場します。それぞれが一筋縄ではいかない困難を抱えており、家族の思いも踏まえた総合的な医療サービスが求められるだけに、医師だけでなく臨床心理士、訪問看護師、言語聴覚士といった複数の専門職が登場し、子どもたちのケアに奮闘します。異なる視点を持つプロが集結し、問題解決に挑む多職種連携の姿として、きっと参考になる点も多いのではないでしょうか。
主演を務めるのは、ミュージカル界のプリンスとして美声とスマートなたたずまいで観客を魅了してきた山崎育三郎。近年は『昭和元禄落語心中』での天才落語家役(2018年・NHK)や、連続テレビ小説『エール』(2020年・NHK)の“プリンス”こと佐藤久志役を熱演し、甲子園での見事な独唱シーンを披露するなど、ミュージカルの枠を超えて存在感を放っています。
その山崎とコンビを組むのは、テレビ朝日系ドラマ初出演となる松本穂香。映画『君が世界のはじまり』や映画『みをつくし料理帖』(いずれも2020年)など数々の作品で主演を務め、唯一無二の空気感をまとう女優として活躍中。過去に共演歴のある両者が今作ではどんなコンビネーションを見せてくれるのか、期待が高まります!
自身も発達障害を抱える児童精神科クリニック院長・佐山を演じる山崎育三郎(写真右)と、自身の発達障害を知って医師の道をあきらめかける研修医・遠野を演じる松本穂香(写真左)。
<登場人物紹介と出演者コメント>
佐山卓(さやま・たく):山崎育三郎
郊外にある児童精神科「さやま・こどもクリニック」の院長。自身も発達障害(ASD)を抱えている。大病院を実家に持ちながら、叔母が経営していた小さなクリニックを引き継いだため、一族の間では変わり者ととらえられている。だが、その裏には、佐山の「患者やその家族と触れ合う時間を大切にしたい」という信念があった。「さやま体操」と呼ばれる風変わりな体操など、毎朝決まったルーティーンをこなす。チェロが趣味。
「初めて原作を読ませて頂いた時、今、自分自身が子育てで感じていることや想いが重なる部分が多く涙が溢れました。佐山が子どもと向き合う姿を見ていると、人に寄り添うことやただ話を聞いてあげること、何も言わず抱きしめてあげることの大切さや、人生を豊かにするヒントが隠されている気がしています。大切な人に会いたくなるような、そんな心温まる作品をお届けしたいと思っています」(山崎育三郎)
遠野志保(とおの・しほ):松本穂香
寝坊、遅刻、忘れ物は日常茶飯事のドジな研修医。大学病院で小児科の研修を受けていたときに、子どもが大好きで患者の子どもたちからも慕われていたが、ミスを連発の上、重大な事故につながりかねない失敗をしてしまい、教授から「医者になることはあきらめろ」と言われてしまう。そんな中、自身の発達障害(ADHD)を知り、一度は医者になることをあきらめようとするが、佐山との出会いが背中を押すことに。
「初めてお話を聞いた時は、原作で描かれているように、発達障害で悩んでいる親御さんやご家族もたくさんいらっしゃると思いますし、演じる上で生半可な気持ちでは向き合えない作品だなと感じました。見終わった時には温かい気持ちになるような、1人1人違っていいんだなということを皆が認めて前に進んでいけるような、そういう強さのある作品になればいいなと思います」(松本穂香)
メスを持たない医師を主人公に据え、「よくある医療ドラマ」とは一線を画す本作。主演の山崎さんは「医療と患者の枠を超えた佐山流の診察がとても斬新」とも話しており、それが実際にどう展開されるのか、今から楽しみになってしまいます。もしかしたら、私たちが持つイメージとは違った医師像が見られるかもしれませんね。
目には見えにくい生きづらさを抱える子どもや家族、それを支援する医療者の姿から、薬剤師として学べることも多いはずです。
文:朝倉奈津子・中澤仁美[ナレッジリング]
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