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新規アトピー治療薬が登場~3品目の承認・一変を了承

薬+読 編集部からのコメント

25日に行われた薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会でアトピー性皮膚炎を効能・効果とする初のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤「コレクチム軟膏0.5%」(日本たばこ産業)の製造販売承認と、2件の一部変更承認を審議し、了承しました。他の審議品目は「ソリリス点滴静注300mg」(アレクシオンファーマ)、「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」(ノバルティスファーマ)と計3件。報告品目が「ディナゲスト錠0.5mg」(持田製薬)と1件。オーファン指定が「システミアン塩酸塩」(マイランEPD)、「アンデクサネットアルファ」(ブリストル・マイヤーズスクイブ)の2件となっています。

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は25日、日本たばこ産業のアトピー性皮膚炎を効能・効果とする初のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤「コレクチム軟膏0.5%」(一般名:デルゴシチニブ)の製造販売承認と、2件の一部変更承認を審議し、了承した。また、持田製薬の子宮内膜症治療剤「ディナゲスト錠0.5mg」(ジエノゲスト)の製造販売承認について報告を受けた。

 

■審議品目

 

コレクチム軟膏0.5%(日本たばこ産業):新有効成分のデルゴシチニブを含有し、アトピー性皮膚炎を効能・効果とする。アトピー性皮膚炎の治療に用いるJAK阻害剤は初めてとなる。

 

用法・用量は、1日2回、適量を患部に塗布する。1回当たりの塗布量は5gまでとした。再審査期間は8年で、海外で承認している国・地域はない。

 

ソリリス点滴静注300mg(アレクシオンファーマ):有効成分のエクリズマブ(遺伝子組み換え)を含有する抗補体モノクローナル抗体製剤。新たに「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能・効果に追加した。希少疾病用医薬品に指定されている。

 

同疾患に対する用法・用量は、1回900mgから投与開始し、初回投与後、週1回の間隔で初回投与を含めて計4回点滴静注し、その1週間後(初回投与から4週間後)から1回1200mgを2週に1回の間隔で点滴静注する。

 

再審査期間は10年。海外では、視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防の効能・効果で、米国と欧州で承認されている。

 

ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL(ノバルティスファーマ):有効成分のラニビズマブ(遺伝子組み換え)を含有する眼科用VEGF阻害剤で、新たに「未熟児網膜症」を効能・効果に追加した。希少疾病用医薬品に指定済み。

 

同疾患に対する用法・用量は、1回0.2mg(0.02mL)を硝子体内投与する。必要な場合は再投与できるが、1カ月以上の間隔を空けることとした。

 

再審査期間は10年で、海外では、欧州が未熟児網膜症の効能・効果を承認している。

 

■報告品目

 

ディナゲスト錠0.5mg(持田製薬):有効成分のジエノゲストを含有する子宮内膜症治療剤で、新たな剤形として0.5mg錠を開発し、効能・効果に「月経困難症」を追加した。既に1mg錠が製造販売されているが、同疾患を効能・効果とするのは0.5mgのみとした。

 

用法・用量は、1日1mgを2回に分け、月経周期2~5日目から経口投与する。再審査期間は残余の2020年12月1日まで。月経困難症の効能・効果で承認されている国・地域はない。

 

■2件をオーファン指定

 

また、この日の部会では、マイランEPDの「システアミン塩酸塩」など2件を希少疾病用医薬品に指定することも了承した。

 

システアミン塩酸塩(マイランEPD):予定される効能・効果は、「シスチン症における角膜シスチン結晶の溶解」

 

シスチン症は各種の臓器障害を引き起こす疾患で、初期段階では無症状だが、症状が進行することで、光によって眼に刺激や痛みを感じる羞明を引き起こす。重症化すると開眼の維持困難、重度の眼瞼痙攣などを発現する場合がある。国内患者数は3~10人と推定されている。

 

国内外で経口製剤が腎性シスチン症の治療剤として承認されているが、角膜中のシスチン蓄積に伴う症状の改善が期待できず、他の治療法もないことなどから、医療上の必要性は高いとした。

 

国内では、有効性・安全性を検討することを目的とした試験が実施される予定であることを踏まえ、開発の可能性は高いと判断した。

 

アンデクサネットアルファ(ブリストル・マイヤーズスクイブ):予定される効能・効果は、直接作用型第Xa因子阻害剤(アピキサバン、リバーロキサバンまたはエドキサバン)投与中の患者における生命を脅かす出血、または止血困難な出血の発現時の抗凝固作用の中和。

 

活性型血液凝固第X因子(FXa)阻害剤は抗凝固剤の一種で、抗凝固療法中に出血性合併症が発現した場合、抗凝固剤の薬理作用に起因する増悪を避けることは難しい。国内の対象患者数は年間3万9630人。

 

国内では、FXa阻害剤の特異的な中和剤は存在しないが、アンデクサネットアルファは抗凝固作用を無効化し、抗凝固状態から急速に回復させることが期待される。

 

海外のガイドラインでも同剤が有用と記載されていることから、医療上の必要性は高いと判断。海外で有用性が認められ、米国と欧州で承認されていることを踏まえ、開発可能性は高いとした。

 

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出典:薬事日報

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