原因不明肺炎で厚労省が対策要請~中国・武漢市の滞在者など
厚生労働省は、中国・武漢市で原因不明の肺炎が発生したことを受け、同市に滞在歴があり呼吸器症状を発症して医療機関を受診した患者について、院内の感染対策を徹底するよう医療機関に要請した。同肺炎に関する情報収集を続け、新たな対応を行う場合は改めて周知する考え。
武漢市では昨年12月から、原因となる病原体が特定されていない肺炎の発生が複数報告されている。国立感染症研究所によると、5日時点で59件の発症が確認され、そのうち7件は重症。ただ、現時点で死亡例は報告されていない。
厚労省は原因や潜伏期間、新型感染症かどうかなどについて現時点では不明としつつ、ヒトからヒトへ伝播する可能性は低く、医療者間の感染もないとしている。
感染経路も不明だが、野生動物も販売されている海鮮市場(華南海鮮城)で働く人に感染者が多い傾向。市場は1日に閉鎖され、閉鎖後に肺炎を発症した患者は確認されていない。
香港、シンガポール、台湾で武漢市から渡航した人の発熱が確認されているものの、肺炎との因果関係が明らかになった事例はないという。また、インフルエンザ、鳥インフルエンザ、アデノウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)との類似疾患の可能性は否定されている。
中国では、病原体の特定と原因の追跡を進めており、濃厚接触者の観察も実施している。日本では同肺炎と関連する患者の発生は報告されていない。
ただ、厚労省は、武漢市から帰国した人に対して、咳や発熱などがある場合はマスクを着用するなどした上で、医療機関を受診するよう呼びかけている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
中国・武漢市で昨年12月から原因不明の肺炎が発生していることを受けて、厚労省は同市に滞在歴があり呼吸器症状を発症して医療機関を受診した患者さんについて、院内の感染対策を徹底するよう医療機関に要請しました。国立感染症研究所によると、現時点で死亡例は報告されていませんが、59件の発症が確認され、そのうち7件は重症。感染経路も不明ですが、ヒトからヒトへ伝播する可能性は低いと見られています。野生動物も販売されている海鮮市場(華南海鮮城)で働く人に感染者が多いという特徴があるようです。