薬剤師の「その先へ」を模索~ウェブと併用形式、初の試み
札幌で日薬学術大会
第53回日本薬剤師会学術大会が10、11の両日、札幌市内で開かれた。22年ぶりとなる北海道での学術大会は、新型コロナウイルス感染症の影響で、現地開催とウェブ開催(ライブ配信)を併用した初のハイブリッド形式での開催となったが、2日間の全プログラムを終えた。現地開催約1700人を含む約6000人が参加し、「その先へ。―あなたに寄り添う心とともに(イランカラプテ)」をメインテーマに、三つの特別講演、13の分科会などが行われた。各会場では体温検知カメラや消毒薬が設置され、参加者の健康や安全に配慮した感染防止策が講じられた。
開会式であいさつした山本信夫日薬会長は、「新型コロナウイルス感染症の影響で開催が危ぶまれたが、ハイブリッドという新たな形態で開催することにした。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止、医療提供体制や医薬品供給体制の維持に努める薬剤師をはじめ、医療関係者や関係団体の尽力に敬意を表したい」と謝意を示した。感染者数が増加し、新型コロナウイルスと共存するウィズコロナ時代に入り、「薬剤師の役割はますます重要さを増すことになる」と指摘した。
9月に改正医薬品医療機器等法の関連省令第1弾が施行されたことについては、「新たな薬局・薬剤師の概念の確立を目指し、薬剤師業務がスタートする」と転換点になると強調。「(改正薬機法では)地域を支える薬局には、全ての医薬品の供給拠点機能にすることが第一に取り組むとされており、しっかりと地に足をつけて薬局や薬剤師の機能強化に取り組みたい」と述べた。
竹内伸仁運営委員長(北海道薬剤師会会長)は、「全国から4000人を超える人たちが、自宅や職場からウェブで参加した。半世紀を超える長い学術大会の歴史において、初めて実施するハイブリッド開催で、ウィズコロナという新しい時代に向けて皆さんと共に一歩踏み出していきたい」と語った。
来賓祝辞では、田村憲久厚生労働相の祝辞を厚生労働省の山本史審議官(医薬担当)が代読。改正薬機法では継続的服薬指導の義務化に加え、来年8月には地域連携薬局、専門医療機関連携薬局の機能別認定制度が施行予定であるとし、「薬剤師が知識や経験を生かしながら患者に寄り添い、地域の中で医師をはじめとする他職種と連携することが重要。法改正の趣旨を理解の上、患者から信頼され、選ばれる薬剤師・薬局になることを期待している」と述べた。
萩生田光一文部科学相(代読)は、昨年2月に開始された改訂モデル・コアカリキュラムに準拠した新たな薬局実務実習が新型コロナウイルス感染症の対応に迫られる中、「薬剤師を目指す学生が会員の皆さんから助言を受け、学ぶ機会を確保できるよう文科省として支援していきたい」と語った。
このほか、来賓として松本純衆議院議員、藤井基之参議院議員、本田あきこ参議院議員らも出席した。
開会式の最後には、来年の日薬学術大会を担当する福岡県薬剤師会の原口亨会長に薬剤師綱領の盾が引き継がれた。
今大会では、8台の体温検知カメラ、各会場の入り口には消毒薬が設置されるなど感染防止に配慮して開催された。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
10月10~11日に北海道・札幌市内で第53回日本薬剤師会学術大会が開催されました。22年ぶりとなった北海道での学術大会は、新型コロナ感染症の影響で、現地開催(1700人)とウェブ開催(ライブ配信)を併用した初のハイブリッド形式で計約6000人が参加しての開催となりました。新型コロナウイルスと共存するウィズコロナ時代に入り、ますます薬剤師が求められる役割の重要性が問われる中、大会メインテーマに「その先へ。―あなたに寄り添う心とともに(イランカラプテ)」が掲げられ、三つの特別講演、13の分科会などが実施。8台の体温検知カメラ、各会場入り口には消毒薬が設置されるなど感染防止に配慮しての開催となりました。