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薬剤師必見!早わかり法律講座 よくわかる2019年薬機法改正 前編

薬剤師必見!早わかり法律講座 よくわかる2019年薬機法改正 前編

 

2019年薬機法改正のポイントは?

2019年12月4日付で公布され、早いものでは1年以内に施行されるとみられる改正薬機法。今回の改正によって何が変わり、薬剤師の業務にはどのような影響があるのでしょうか。薬剤師であり、現在は弁護士として活躍中の赤羽根秀宜先生が薬機法改正のポイントについて2回に分けて解説します。

1. 薬機法はなぜ改正されたのか?


薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の改正法が成立し、令和元年12月4日に公布されました。改正内容は多岐にわたり、施行日も内容によって、1年、2年又は3年を超えない政令の定める日からとされ、施行時期も異なります。

薬機法は、平成26年に改正され薬事法から薬機法に名称が変更となりました。この改正の際、施行後5年を目途として、改正後の実施状況を勘案し必要に応じて見直すことが附則として定められていたため、本改正に至っています。

2. 2019年薬機法改正の概要


平成30年には、本改正に向けて、以下の三つのテーマが議論されました。(「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」平成30年12月25日厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会)

①高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器等を迅速に患者に届ける制度
②薬剤師・薬局のあり方
③医薬品・医療機器等の製造・流通・販売に関わる者に係るガバナンスの強化等

「薬剤師・薬局のあり方」が大きなテーマの一つになっており、改正に向けての議論においては、薬剤師・薬局について厳しい意見もありました。薬剤師・薬局としては、今回の改正を踏まえ、今まで以上に国民の期待に応える意識を持つことが重要になるでしょう。

以下、改正の概要について解説します。

3. 2019年薬機法改正のテーマ①「高い品質・安全性を確保し、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器等を迅速に患者に届ける制度」


A 先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化

これまで厚生労働省の通知で運用がされていた、先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度が法制化されます。

・先駆け審査指定制度

先駆け審査指定制度とは、世界に先駆けて、革新的な医薬品等を実用化する制度です。

先駆的医薬品等とは、①日本・外国で承認を与えられている製品と作用機序等が明らかに異なる、②その用途に関し特に優れた使用価値を有する、医薬品等であり、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定を行います。この先駆的医薬品等は、優先審査等の対象となります。

また、特定用途医薬品等とは、①その用途が特定の区分に属する疾病の治療等である、②当該用途に係る医薬品等に対するニーズが著しく充足されていない、③その用途に関し特に優れた使用価値を有する、医薬品であり、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定を行います。

この特定用途医薬品等は、優先審査等の対象となる他、対象者数が少ない特定用途医薬品等については、国が試験研究を促進するために必要な資金の確保に努め、税制上の措置等も講じられます。

・条件付き早期承認制度

厚生労働大臣は、医薬品等の承認申請をする場合に、①医療上特にその必要性が高いと認められるとき、②検証的臨床試験の実施が困難である等のとき、は臨床試験の試験成績に関する資料の一部の提出を要しないこととすることができます。資料の一部の提出がないため、承認の際、使用の成績に関する調査の実施、適正な使用の確保のために必要な措置の実施等の条件を付すこと等がされます。

B 医療機器の特性を踏まえた承認制度の導入

医療機器には、ピンセット、血圧計、MRI等まで様々なものがあり、医療機器の特性を踏まえた規制の構築の必要性が求められ、これまでも改正がされてきました。

本改正では、医療機器の中には、絶えず、改良、改善が想定されるものがあるため、改良が見込まれている医療機器について、継続した改良を可能とする承認審査制度が導入されます。

C 添付文書の電子的方法による提供の原則化

医薬品等の添付文書について、最新の情報を速やかに医療現場に届けるため等から、電子的な方法による提供が基本となります。

もっとも、一般用医薬品等の消費者が直接購入する医薬品に関しては、使用時に添付文書の情報の内容を直ちに確認できる状態を確保する必要があるため、紙媒体の同梱はこれまで通り行われます。

4. 2019年薬機法改正のテーマ②「薬剤師・薬局のあり方」


薬剤師・薬局に関する主な改正点は以下のとおりです。この点については後編(2020年2月更新予定)で詳しく解説します。

・服用期間を通じた継続的な薬学的管理と患者支援
・医師等への服薬状況等に関する情報の提供
・地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局の導入
・遠隔服薬指導

5. 2019年薬機法改正のテーマ③「医薬品・医療機器等の製造・流通・販売に関わる者に係るガバナンスの強化等」


薬事にかかる許可等業者による、これまでの様々な不祥事等を踏まえて、許可事業者に関して法令遵守体制の整備の義務付け等ガバナンスの強化が求められます。薬局におけるガバナンスの強化にかかる主な改正は、以下のとおりです。

①薬事に関する業務に責任を有する役員を法律上位置付ける
②開設者は、薬局の管理に関する業務について、薬局の管理者が有する権限を明らかにすること
③開設者は、薬局の管理に関する業務その他の薬局開設者の業務の遂行が法令に適合することを確保するための体制、業務の監督に係る体制を整備すること
④開設者は、従業員に対して法令遵守のための指針を示すこと
⑤薬局の管理に関する業務が法令を遵守した適正なものとなるよう、必要な能力及び経験を有する管理者を選任すること
⑥管理者は開設者に対して意見申述を書面で行わなければならないこと。
⑦開設者は、上記意見を尊重し法令遵守のために措置を講ずる必要があるときは、当該措置を講じ記録に残すこと

なお、「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」で提言された法違反時の役員変更命令については、本改正では取り入れられませんでしたが、衆議院、参議院いずれの厚生労働委員会において、施行後の状況をみて引き続き検討を行う旨の付帯決議がされており、今後不祥事が続くようであれば、このような法改正も行われるかもしれません。

その他、医薬品等の虚偽・誇大広告による違反事例には罰金等の刑事罰が定められていましたが、違反の事例が発生していたため、虚偽・誇大広告による販売に対して課徴金制度の創設もされます。

虚偽・誇大な広告を行った場合には、その期間の対象商品の売上額の4.5%の課徴金納付命令がされます。ただし、課徴金が225万円未満の場合には課徴金納付命令を行うことができません。また、保健衛生上の危害の発生・拡大への影響が軽微である場合等には課徴金納付命令を行わないことができることや減額規定も定められます。

後編「2019年薬機法改正で薬剤師の役割はどう変わる?」

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執筆/赤羽根 秀宜(あかばね ひでのり)

昭和50年生。中外合同法律事務所所属。

薬剤師の勤務経験がある弁護士として、薬局や地域薬剤師会の顧問を務め、調剤過誤・個人情報保護等医療にかかる問題を多く取り扱う。業界誌等での執筆や講演多数。

執筆/赤羽根 秀宜(あかばね ひでのり)

昭和50年生。中外合同法律事務所所属。

薬剤師の勤務経験がある弁護士として、薬局や地域薬剤師会の顧問を務め、調剤過誤・個人情報保護等医療にかかる問題を多く取り扱う。業界誌等での執筆や講演多数。

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