インタビュー 公開日:2020.10.23 インタビュー

「薬局は単に薬を売るところではなく、コミュニティーの場」タマキ薬局の健康フェア

健康情報拠点として認知され、地域のかかりつけ薬局としての役割を担うことへと繋げるために有用な「健康フェア」。それぞれの地域、また薬局そのものの特性などにより、さまざまな取り組みが行われています。その中から今回は三姉妹を中心に地元の方々への恩返しを行った「タマキ薬局」の企画をご紹介します。

 

※本記事は株式会社ネクスウェイが提供する「医薬情報おまとめ便サービス」特集2017年8月号P.3-4「全国各地で開催される健康フェアの取り組みをご紹介~タマキ薬局」を再構成したものです。

お話を聞いたのは……タマキ薬局(東京都杉並区)
 

住所/東京都杉並区本天沼2丁目6-2
タマキ薬局 ホームページ
https://www.kusurinomadoguchi.com/tokyo/s1000061076
※営業時間、定休日などの最新情報はウェブサイトよりご確認ください。

三姉妹を中心に展開する、お世話になった地元の方々への恩返し

Q.健康フェアを開催されるようになった 理由やきっかけをお聞かせください。

A.寝たきり生活の予防を目的として活動を開始

 

地域で寝たきりの方を増やさないよう、少しでも外出する機会をつくり地域間の交流や結束に繋がる活動をしようと始めたのが健康フェアのきっかけでした。

 

ここは祖父が開局した薬局で、私たち三姉妹も以前から「薬局は単に薬を売るところではなく、コミュニティーの場であるべき」と教わってきました。たくさんのOTC薬の中から自分で選んで買えることがセルフメディケーションだと誤解されがちですが、本当はお客様としっかり向き合って、コミュニケーションの中で必要な薬の提案やアドバイスをすることが薬局の役割だと思うのです。

 

左から専務取締役古坂利恵先生(長女)、管理薬剤師大成みつ美先生(次女)、薬剤師仲村恵子先生(三女)

 

そうしたことから、これまでにも健康に関して学ぶ「タマキセミナー」を年4回開催したり、3年ほど前からは筋力アップの健康体操を始めたり、この10年でさまざまな活動を行ってきました。また店内に「タマキカフェ」と称するコミュニティースペースを設け、お客様からの漢方相談やお客様同士の雑談などに活用できるようにしています。職場と家の間に位置づけられるような、三つ目の大切な場所として存在できたらうれしいですね。

Q.これまでにどのような企画で健康フェアに取り組んでこられたのでしょうか。

A.地域の協力を得ながら、企画アイデアを実践

 

毎朝の会議で健康フェアのロードマップを考えたり、あとは雑談の中でアイデアを出し合ったりしています。やはり姉妹ならではなのでしょうが、三人三様の視点がバランスよく健康フェアにも生かされていると思います。これまでには、近隣の眼科の先生による目の健康セミナーや高名な薬剤師の先生をお招きして薬物のセミナー、また最近ではお医者様に骨密度の重要性を講演していただくセミナーなどを開催してきました。地域として見守っていけることを大事にしたいので、近隣の先生方にご協力いただきながら企画を立てています。お隣の整骨院の吉川先生にお願いして継続的に開催している健康体操は、出席簿を作成して毎回スタンプを押すことで、皆さん楽しみながら参加していただけていると思います。

 

皆さんに人気の健康体操

 
 

体操教室に参加するともらえるスタンプカード

 

Q.その他に「タマキ薬局」の取り組みの特徴などはありますか?

A.気軽にご相談いただき、1人ひとりに100%の気持ちで対応

 

うちは雑貨から化粧品、あるいはHbA1Cの測定機器や酸素カプセルまで幅広く揃っているので処方箋がなくても来てくださる方が多いのが特徴です。お買い物がてらお薬の相談をされたり、ちょっと調子が悪くなったら病院に行く前にまず相談に来てくださったり。「お医者さんには言えないけど…」といったお話しも割と多いですね(笑)。

 

うちを信用して来ていただいているからにはその気持ちにはしっかりお応えしたい、またお薬をちゃんと飲んで良くなって欲しいので、1人ひとり丁寧に時間をかけて対応しています。また、高齢の方や赤ちゃん連れのお母さんには、病院や薬局での待ち時間は結構な負担になることもあるので、処方箋をファックスやメールで受け付けて無料で薬を配達しています。そういったことをしているとどうしても非効率になる部分はあるのですが、リピーターになってもらえることが何よりうれしいことで、施設に入所した後も、うちがいいと言ってくださる患者さんもいらっしゃいます。

Q.今後、ご姉妹で実現してみたい企画や活動とは?

A.「地域のことは地域で見守る」をコンセプトに

 

急務なのは認知症の問題ですね。それと、筋膜ストレッチの啓蒙もこれから重要になると思います。これは筋肉と筋肉を覆っている筋膜の癒着をはがし、痛みを解消するための運動です。近年では添加物を一切摂取しないのは困難ですし、お菓子などで糖分を摂り過ぎている傾向もありますから子どもの食育も重要課題です。過去にここで行った子どもたちの職場体験も人気があったのでまた開催したいですね。

 

三人は仲良し三姉妹

 

また「こども110番の家」として、街で変な人を見かけたり怖い思いをしたら入ってきなさいと日頃から子どもたちに伝えるようにしています。薬局に入りやすいイメージをつくり、地域と連携する拠点となることも大切なことだと考えています。

 

私たちは何十年もこの街に住み、周りの方々に見守られて育ってきました。今後は、皆さんへの恩返しの気持ちで地域の健康を見守っていくことが使命だと思っています。

 

出典:株式会社ネクスウェイ「医薬情報おまとめ便サービス」特集2017年8月号