セルフM税制、5年延長‐対象も3薬効程度拡充へ
厚生労働省は、2021年度までの時限措置としていたセルフメディケーション税制について、22年からさらに5年間延長すると発表した。国民の健康づくり促進に向け、セルフメディケーションに対するインセンティブ効果の維持・強化が重要と判断。税制の対象範囲も拡大し、スイッチOTC医薬品に加え、医療費適正化効果が著しく高いと認められるスイッチOTC以外の一般用医薬品についても、3薬効程度をメドに拡充する方針。
セルフメディケーション税制は、特定の成分を含むOTC医薬品を1年間に1万2000円以上購入し、その年に会社の健康診断などを受けていれば、税金が還付・減額される制度。税制の利用により、医療費低下が見込まれるため、17年から5年間にわたって実施されてきたが、政策効果の検証を引き続き実施する必要から、日本製薬団体連合会と日本一般用医薬品連合会など業界から制度の延長が求められ、さらに5年間の延長を決めた。
これまではスイッチOTC医薬品を対象としていたが、対象医薬品の範囲を拡大する。税制インセンティブ効果をより強化するために、医療費適正化効果が著しく高いと認められる薬効については、3薬効程度を目安にスイッチOTC以外の医薬品にも拡充。対象とする医薬品の具体的な範囲は専門的な知見を活用して決定する方針。
一方、所要の経過措置(5年未満)を講じた上で、対象となるスイッチOTC成分の中で医療費適正化効果が低いと認められるものは対象から除外する方針。
利用手続きも簡素化する。一定の取り組みを行ったことを明らかにする定期健康診断の結果通知表など第三者作成書類の確定申告への添付や、対面申請の場合も第三者作成書類は手元保管とし、22年以後の確定申告から確定申告書の提出時に提示を不要とするなど、手続きを簡素化する。
e-Taxの場合も、レシート管理アプリとの連携により、医薬品名の入力を省略するなど入力手続きの簡素化を図る方策を検討していく。今後、制度の効果検証を適切な指標を設定した上で行い、次の適用期限の到来時に評価を踏まえて制度の見直しなどを含め、必要な措置を講ずるとしている。
一方、医薬品医療機器等法の改正で課徴金納付命令が導入されたのを受け、課徴金と延滞金を損金・必要経費に算入しないとする措置も実施する。
課徴金・延滞金が損金・必要経費に算入できると、当該算入額に法人税等の各税率を乗じた額が課税されないため、各税の負担額が減少し、違反行為の抑止効果が十分に発揮できない。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
特定成分を含むOTC医薬品を1年間に1万2000円以上購入し、その年に会社の健康診断などを受けていれば、税金が還付・減額されるセルフメディケーション制度(2021年度までの時限措置)について、厚労省は2022年からさらに5年間の延長を発表しました。国民の健康づくり促進に向け、セルフメディケーションに対するインセンティブ効果の維持・強化が重要と判断されたためです。一方、所要の経過措置(5年未満)を講じた上で、対象となるスイッチOTC成分の中で医療費適正化効果が低いと認められるものは対象から除外する方針です。