向精神薬の流通管理明記~薬物対策で取りまとめ案【厚生労働省】
厚生労働省は5月28日、大麻取締法の見直しなどを含めた「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の取りまとめ案を示した。大麻由来医薬品の製造等や使用罪の創設などを認めるほか、不正使用される可能性が高い向精神薬を麻薬および向精神薬取締法の枠組みで流通管理することなどを盛り込んだ。
取りまとめ案は、▽大麻規制のあり方▽医療用麻薬および向精神薬の規制▽社会復帰支援を柱とする薬物乱用者に対する再乱用防止対策――の3項目で構成したもの。
大麻規制のあり方では、大麻取締法に言及。現在の部位規制から有害成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)に着目した規制に見直す。
その際には、含有するTHCの濃度に関する規制基準を設けるかどうかも検討すべきとした。
大麻由来の医薬品に関して、免許制度による流通管理の仕組みを導入することを前提に、製造等を可能にすべきとした。
従来は、大麻草の栽培農家が収穫作業中に「麻酔い」する場合を考慮して、使用に対する罰則を設けてこなかったが、麻酔いが確認されなかったことなどを踏まえ、他の薬物規制と同様に罰則を設けるべきとした。
医療用麻薬および向精神薬の規制については、麻薬が医療目的で適正使用される場合も不正流通で悪用される場合も一様に「麻薬」と呼ばれているため、適切な名称を検討するよう求めた。
また、向精神薬では、不正流通や不適切使用が行われる可能性が高いとして、医薬品医療機器等法に基づく承認条件ではなく、「麻薬および向精神薬取締法」の枠組みで流通管理の仕組みを検討すべきとした。
社会復帰支援を柱とする薬物乱用者に対する再乱用防止対策では、保護観察対象者について、観察期間中に治療等につながる働きかけを強化すると共に、薬物依存者に対する偏見を解消し、依存症からの回復や社会復帰を目指す人を社会全体で支える取り組みを進めるべきとした。
入院措置等を実施する麻薬中毒者制度については、実質的に機能していないとして、廃止が適当とした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
5月28日、厚労省は大麻取締法の見直しなどを含めた「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の取りまとめ案を提示。大麻由来医薬品の製造等や使用罪の創設などを認めるほか、不正使用される可能性が高い向精神薬を麻薬および向精神薬取締法の枠組みで流通管理することなどが盛り込まれています。取りまとめ案は「大麻規制のあり方」「医療用麻薬および向精神薬の規制」「社会復帰支援を柱とする薬物乱用者に対する再乱用防止対策」の3項目で構成されています。大麻規制のあり方では、大麻取締法に言及しており、現在の部位規制から有害成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)に着目した規制に見直されています。