医療機器

仮想現実で調剤疑似体験~DX対応の薬学教育展開へ

薬+読 編集部からのコメント

昭和薬科大学では文部科学省の「ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる医療人材養成事業」に採択されたVR(仮想現実)を用いた調剤疑似体験など、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対応した教育に取り組みます。VRゴーグルをのぞき込むと、調剤室の実習が疑似体験できる教育を検討し、薬剤師に求められる手技や患者応対能力を養えるようにします。コロナ禍によって、対面による講義や実習が減少したことを好機と捉え、薬学教育における課題解決とデジタル化に対応可能な薬剤師を育成したい考えです。

コロナ禍の実習減好機に

昭和薬科大学は今年度から、VR(仮想現実)を用いた調剤の疑似体験など、デジタルトランスフォーメーション(DX)に対応した教育に取り組む。VRゴーグルを顔に装着してのぞき込むと、調剤室の実習が疑似体験できる教育を検討し、薬剤師に求められる手技や患者応対能力を養えるようにする。コロナ禍での対面による講義や実習の減少を好機と捉え、薬学教育における課題解決とデジタル化に対応可能な薬剤師を育成したい考えだ。

同事業は、文部科学省の「ウィズコロナ時代の新たな医療に対応できる医療人材養成事業」に採択されたもの。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、患者と対面した実習が中止・縮小される中、DXの技術を活用して感染拡大前の水準以上の実践的な教育計画を構築し、即戦力となり得る高度な医療人材の育成に取り組む大学に補助金が支給された。

 

昭和薬大の事業では、VRゴーグルを用いた薬学教育を展開する。大学近隣の病院や薬局の協力を得て、教員が実際の調剤室の現場や業務の様子をスマートフォンで撮影。スマホをVRゴーグルに取り付けて装着すると、ゴーグル内で調剤室を360度視認でき、調剤室での実習を疑似体験できる仕組みだ。

 

医療分野でのVRシミュレーションの普及は急速に進んでいるが、教育で取り入れている大学や医療機関は少なく、昭和薬大では臨床教育で積極的に取り入れていきたい考え。VRゴーグルを活用した具体的な実習内容は、検討中の段階だ。

 

オンライン資格確認等システムや電子処方箋の運用が開始されれば、診療・調剤時にも患者情報の共有が可能となる。昭和薬大では、現場のデジタル化に対応できる薬剤師の育成を目指した講義の実施も視野に入れる。

 

電子カルテや電子お薬手帳等の機能を拡張し、タブレット端末を「見るものから活用するもの」に転用し、薬剤師業務で情報を利活用できるよう指導していきたいとしている。機微な個人情報である患者情報を取り扱うため、倫理観を兼ね備えた人材育成も目指す。

 

昭和薬大は、事業採択前からコロナの感染拡大下でオンライン授業やデジタルコンテンツの配信に取り組んでいた。実務実習前に調剤や患者応対のスキルを習得してもらうため、解説付きの模範動画を作成し、通学中や自宅などでも視聴できるようにしたところ、多数の学生から好意的な反応が得られたという。

 

動画コンテンツによる教育で何ができ、何が足りないのかを把握することで、現状の薬学教育が抱える問題点を浮き彫りにすると共に、DXを活用した教育の可能性を探りたい考えだ。

 

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出典:薬事日報

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