フェリングに業務改善命令~原薬製造でGMP不適合【厚生労働省】
厚生労働省は4月28日、フェリング・ファーマが製造販売するHMG注射用75IU「フェリング」、同150IU「フェリング」(一般名:ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン)の原薬で、アルゼンチンの製造業者が承認事項に従った製造を行っていないなどGMP省令への不適合が確認されたのを受け、医薬品医療機器等法に基づきフェリングに業務改善命令を出した。同社に対し、今月末までに是正措置や再発防止策にかかる改善計画の提出を求めた。
昨年11月に医薬品医療機器総合機構(PMDA)が同社が製造委託していたアルゼンチンの製造業者に実地での適合性調査を実施した結果、GMP省令に適合しないことが確認された。
具体的には、原薬の製造工程で承認事項にはない精製や成分添加などの工程が追加されていたほか、製造指図書に基づく製造作業の実施や作業記録の作成も行われておらず、GMP省令に定める製造管理にかかる業務が適切に実施されていないなどの法令違反が認められた。
また、出荷の可否の決定も追加工程にかかる製造指図書に基づき、製造・品質関連業務が適切に行われたかどうかを品質保証部門が適切に評価していなかった。追加工程の製造記録も作成されていなかったり、作成されている場合であっても省令で定められた保存期間を守らず破棄していた。
厚労省は製造販売業者のフェリングに業務改善命令を出し、違反事項の原因究明に加え、製造業者に対する監督、製造管理・品質管理が適正に行われる体制整備、是正措置・再発防止策の改善計画を策定するよう求めた。
フェリングは昨年11月から同製品の出荷停止を自主的に行っている。同製品の有効性・安全性への影響や健康被害が発生する恐れはないと考えられており、国内外で製品の回収は実施されていない。
フェリングは同日、「厳粛に受け止め、患者とその家族、医療関係者、その他のステークホルダーに迷惑をかけたことを深くお詫びする」との声明を発表した。今後の業務改善に向け、「製造販売業者としてGMP違反の原因究明の上、製造所における医薬品の製造部門と品質部門を適切に監督すると共に、製品の製造管理・品質管理が適正に行われる体制を整備し、再発防止に努めていく」とした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚労省はフェリング・ファーマが製造販売するHMG注射用75IU「フェリング」、同150IU「フェリング」の原薬に対し、医薬品医療機器等法に基づき業務改善命令を出しました(4月28日)。2022年11月にPMDA(医薬品医療機器総合機構)が、同社が製造委託していたアルゼンチンの製造業者に実地での適合性調査を実施した結果、GMP省令に適合しないことが確認されたことによります。