カテゴリー別薬価を提案~日薬連が薬価部会で、基礎的薬の対象拡大要望
日本製薬団体連合会は5日、中央社会保険医療協議会薬価専門部会での意見陳述で、2024年度薬価制度改革に向け、「新薬」「長期収載品・後発品」「基礎的医薬品」に区分した医薬品カテゴリー別の薬価制度を提案した。カテゴリー別の薬価制度とすることで医薬品の供給問題、ドラッグラグ・ロスの問題に対し、薬価上の対応策を打つのが狙いだ。薬価を下支えする仕組みについては基礎的医薬品の対象範囲の拡充などを要望すると共に、物価高騰の影響で不採算となった場合に適時薬価を引き上げる仕組みを求めた。
日薬連が提案するカテゴリー別薬価制度は、新薬について「革新的新薬を迅速に日本に導入するための仕組み」として、イノベーションの評価と薬価維持を要望。長期収載品・後発品は「高品質な後発品の安定供給により、国民の健康維持と負担軽減に貢献し得る仕組み」によって、先発品から後発品への置き換えを推進する。
先発と後発の区分がない基礎的医薬品は、「医療上の必要性の高い品目が継続的に供給される仕組み」で真に必要性の高い品目の薬価を下支えする。
医療上の必要性の高い医薬品の安定確保に向けては、基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価の薬価を下支えする仕組みを充実化させる。基礎的医薬品については、過去に不採算再算定が適用された品目は薬価収載後25年という年数要件と、安定確保医薬品の整理による品目要件の見直しなどで対象範囲の拡充を提言した。
そのほか、物価高騰で不採算となった場合に適時薬価を引き上げる仕組みを要望した。
岡田安史会長は「カテゴリーごとにあるべき薬価制度は異なるにも関わらず、すべからく市場実勢価格に基づく薬価改定となっており、一つの仕組みをベースとした考え方は見直すべきタイミングを迎えている」と主張した。
その上で、科学的エビデンスに基づく価値評価に応じたカテゴリー別の薬価制度について「中長期的に検討していただきたい」と要望した。
岡田氏は、毎年改定によって加速度的に薬価が低下している状況にも危機感を表明し、「薬価差を理由に毎年改定を実施している事実を踏まえれば、薬価差そのものが生じない仕組みを含め、薬価改定のあり方について検討を進めていくべき」と語った。
日本ジェネリック製薬協会の高田浩樹会長は、後発品の少量多品種生産が産業構造上の課題となっていることに対し、多くの企業が販売している品目については医療上の必要性を十分考慮した上で、市場からの撤退を促す仕組みの創設を求めた。
さらに、既収載品の薬価が3価格帯に集約されている現行制度にも言及。「市場実勢価格の低い品目の薬価が引き上げられたり、その影響で安売りをせず適正な価格で販売している企業の製品の薬価が引き下げられている。継続的な安定供給を支えていく企業にとっては価格帯の集約は予見性に乏しい制度となっている」と指摘し、安定供給されている既収載品の薬価については適正な市場実勢価が個別銘柄ごとに反映される制度を提言した。
一方、ドラッグラグ・ロス解消に向けては、日本製薬工業協会と欧州製薬団体連合会(EFPIA)が、革新的医薬品の欧米上市後、一定期間内に国内上市した場合に、薬価維持や市場拡大に伴う再算定免除、欧米並みの薬価水準を確保できる薬価制度を提案した。類似品への再算定については、米国研究製薬工業協会(PhRMA)を含め日米欧製薬3団体が揃って廃止を求めた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
7月5日、中央社会保険医療協議会薬価専門部会での意見陳述において、日本製薬団体連合会が2024年度薬価制度改革に向けて、「新薬」「長期収載品・後発品」「基礎的医薬品」に区分された医薬品カテゴリー別の薬価制度を提案。各カテゴリー別の薬価制度とすることで医薬品の供給問題、ドラッグラグ・ロスの問題に対して、薬価上の対応策を打つのが狙いとなっています。