創薬・臨床試験

適合性調査で「異次元」改革~10月にRWD新事業稼働へ

薬+読 編集部からのコメント

PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、新薬申請や再審査申請へのリアルワールドデータの活用や分散化臨床試験をはじめとした治験の効率化など、“異次元の適合性調査改革”に取り組みます。新技術導入支援の企画立案や適合性調査などの見直しに積極的に取り組むための体制整備を図ります。

信頼性保証部門を再編

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、新薬申請や再審査申請へのリアルワールドデータ(RWD)の活用や分散化臨床試験(DCT)をはじめとした治験の効率化など、“異次元の適合性調査改革”に取り組む。7月に信頼性保証部門を再編し、信頼性保証部を臨床試験、製造販売後調査、RWD活用試験を対象とした「信頼性保証第1部」、非臨床試験や品質試験を対象とした「信頼性保証第2部」に改編。新技術導入支援の企画立案や適合性調査などの見直しに積極的に取り組むための体制整備を図る。

PMDAは、新型コロナウイルス感染症拡大を背景に、医薬品承認申請資料や再審査資料に関連した適合性書面調査やGCP/GPSP実地調査などにリモートによる適合性調査を導入し、全品目で遅滞なく実施してきた。

 

品目数が増える中、信頼性保証第1部長の山口光峰氏(写真㊧)は「国内でのドラッグ・ロス対策は信頼性保証部にとっても重要な課題と捉えている。適合性調査の効率的な実施や臨床試験・非臨床試験を国内で実施しやすい環境整備、リアルワールドデータやDCTの導入支援に対応することで貢献できる」と述べ、改革に着手した背景を説明する。

 

新たな信頼性保証部では、第1部が臨床試験、製造販売後調査、RWD活用試験、第2部が非臨床試験や品質試験などを担う。改革の重点項目として、▽再審査適合性調査の効率化戦略▽システム調査の必要性▽RWDの活用に向けた信頼性戦略▽治験のさらなる効率化▽治験等の電子化をさらに加速▽品質・非臨床試験の適合性調査の見直し▽調査員の教育・スペシャリストの育成――7項目を掲げる。

 

承認申請、再審査申請での活用を推進しているRWDをめぐっては課題が山積している。再審査申請では2018年4月に改正GPSP省令が施行され、データベース(DB)を用いた製造販売後調査の実施が認められたが、施行後5年間で50調査の活用実績と伸び悩んでいるのが現状だ。

 

PMDAはDB調査の普及に向け、レジストリ保有者に対する支援事業として「リアルワールド活用促進事業」を開始した。具体的には、レジストリ保有者に薬事制度を理解してもらい、製薬企業と連携しやすい体制を整備することでDB調査の普及を目指す。予備調査を完了し、10月には本稼働する計画だ。

 

承認申請でのRWD活用も臨床試験が実施しづらい領域がターゲットとなり、活用が進んでいないため、製薬企業やデータベース事業者、レジストリ保有者に相談制度でサポートしていく構えである。

 

一方、信頼性保証第2部では、既に品質・非臨床試験の適合性調査見直しで成果が出ている。4月申請品目から品質・非臨床試験の適合性書面調査を原則として一律リモート調査で実施し、根拠資料が国内・海外に依らない調査運用に変更した。信頼性保証第2部長の川名純一氏(写真㊨)は「非臨床にとって海外への調査はチャレンジだったが、リモート調査により保管場所に依らない調査が可能になった」と話す。

 

今後は人員増強も計画する。山口氏は「まずは審査が遅れないことが最重要課題。通常の適合性調査を実施しながら、効果があるものから順番に改革を進めていく。様々な技術を積極的に取り入れて意識改革も進めていきたい」としている。

 

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出典:薬事日報

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