【第109回国試】正答率6ポイント低下~前回から難易度が上昇
薬ゼミが自己採点
今月17、18日に実施された第109回薬剤師国家試験で、薬剤師国試予備校大手「医学アカデミーグループ薬学ゼミナール」(薬ゼミ)が全受験者を対象に自己採点を実施した結果、同22日現在で平均正答率は67.4%と近年で最も高い平均正答率となった第108回国試から6ポイント程度低下した。薬ゼミでは、厚生労働省発表の合格ラインがそれぞれ213点、215点、217点であった第105~107回の得点分布と近似している傾向にあり、全体の難易度は「中等」と分析。第109回は、2022年度に改訂された薬学教育モデル・コア・カリキュラムを意識した問題が多く出題された一方、地域連携薬局、健康サポート薬局、チーム医療、医療計画策定など薬剤師を取り巻く環境を把握しておく必要のある問題、一般用医薬品について問う問題などが出題された。
22日時点での「薬ゼミ自己採点システム」に入力した受験者1万1356人の集計を行ったところ、平均正答率は67.4%で、第108回の73.7%から6.3ポイント低下し、第107回の68.6%よりも1.2ポイント低かった。
必須問題は第108回より難易度が上がり、平均正答率は78.2%と4.1ポイント低下し、80%を切った。集計段階ではあるが、直近5回の国試の平均正答率の数値に比べて最も低い水準となっている。例年通り得点しやすい問題が多かったが、近年で比較するとリード文で問われていることをしっかり把握して解く必要のある問題が増加し、必須問題全体の難易度は「中等」とした。
理論問題の全体としての難易度は「中等」で、平均正答率は59.6%と第108回国試から6.5ポイント下がり、6割を下回った。HIV感染と薬害エイズに関する生物・衛生・法規の3連問、解糖系に関する化学・生物の2連問、抗癌剤「イリノテカン」に関する薬剤の中での2連問と連問が増加したほか、薬理・治療による2連問も4題が出題された。連問以外でも科目としての学修だけではなく、患者を主体にして多科目の知識をつなげて対応する能力を測る出題が継続している。理論でも症例問題が多く出題され、臨床を意識した問題が増加していた。
実践問題の平均正答率は66.4%と7.4ポイント低下し、第108回より難易度が上がった。
実践問題では、症例・処方・検査値など情報量の多いリード文が多く、それらの情報の中から必要な要素を抽出し、適切な治療につなげる能力が求められる問題が出題されており、薬ゼミでは「時間不足を感じた受験生もいたことと予想される」と分析した。
放射性医薬品についての問題も多く出題され、内用放射線療法における服用前後の生活における注意点について問う問題などが出題されていた。
また、医師、研修医、看護師など様々な医療従事者に提案する内容を解答する問題が出題されており、薬剤師が臨床現場での即戦力として期待されている背景が出題に見られたとした。
全体として、改訂コアカリに準拠した問題が多く出題された。薬剤師が疾病の予防、予防医療に携わることが求められる中、予防接種に関する出題がされたほか、「個別最適化薬物治療」を意識した患者の症状や検査値から適した対応を解答する問題も多く出題された。
薬ゼミの木暮喜久子学長は「今回の国試は、地域住民の予防と患者の経過を把握した上での適正な薬物治療の実践を問う傾向にあった」と総評している。
なお、合格発表は3月19日を予定している。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2024年2月17日・18日に実施された第109回薬剤師国家試験の受験生の自己採点結果を、「薬ゼミ」が公表しました。2月22日時点で平均正答率は67.4%と、前年の第108回から約6ポイント低下。厚生労働省発表のボーダーが213点・215点・217点だった第105~107回の得点分布と近似している傾向にあり、全体の難易度は「中等」と分析しています。