在宅訪問指導で手引き~必要な薬剤師業務を整理 厚生労働科学研究班
国立長寿医療研究センター長寿医療研修部高齢者薬学教育研修室の溝神文博室長を研究代表者とする厚生労働科学研究班は、「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」をまとめ公表した。在宅医療における多職種間の情報共有不足の解消を目的としたもので、薬剤師間、医師、看護職等の各職種ごとに、円滑な連携に向けて薬剤師に求められる業務を整理して示している。
在宅医療や介護施設に関わる薬剤師のほとんどが多職種連携の重要性を認識している一方、実際に情報提供を行っているのは看護職以外の職種では1割以下にとどまる。また、薬剤師による患者情報の収集が不十分なために情報提供されていない実態もある。
同ガイドは、薬剤師と他職種が双方向で情報共有でき、薬剤師が患者の状態を全面的に把握し、適切な薬物治療の提案を可能にすることを目的に、現場に従事する薬剤師向けに作成。服用薬剤の種類増加が見込まれる75歳以上の患者を対象としている。
病院、薬局、介護老人保健施設など各施設に勤務する薬剤師間の連携では、療養環境の移行時には調剤方法や患者の服薬管理能力だけでなく、薬物療法の経過や治療方法変更の経緯等の情報を他施設の薬剤師と共有することが重要とした。
患者の入院予定情報を薬局で把握できる仕組みの構築が必要として、予め薬局と病院の薬剤部で入院時の情報連携の方法を摺り合わせておくことや、かかりつけ薬剤師を患者に予め決めておいてもらうよう勧めておくことが望ましいとした。
医師との連携については、薬剤師への要望を盛り込んでいる。適正使用に向けて患者の処方薬全てを医師に報告すること、特に慎重な投与が必要な薬物や薬剤起因性老年症候群に当たる薬物に関連する情報の提供のほか、▽処方薬の服薬指導▽処方薬の服薬状況確認▽残薬の調整――に関する情報提供も求めた。
患者の日常生活に関する情報を十分に持ち、服薬状況の管理や服薬支援を担う看護職・介護職との連携も不可欠とした。OTC医薬品やサプリメント等の服薬状況確認、服薬アドヒアランス低下を避けるために患者の退院後の生活状況確認、残薬について看護職等から情報の聞き取りを行った上での介入が望ましいとした。
そのほか、電子的な情報連携、服薬管理、介護老人保健施設における連携等を項目として記している。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚生労働科学研究班によってまとめられた「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」が公表されました。在宅医療における多職種間の情報共有不足を解消するために、円滑な連携に向けて薬剤師に求められる業務を整理して示したものです。